ゆる鉄ファインダー – SANYO CHEMICAL MAGAZINE /magazine Wed, 30 Aug 2023 08:17:08 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.5 /magazine/wp/wp-content/uploads/2020/09/cropped-sanyo_fav-32x32.png ゆる鉄ファインダー – SANYO CHEMICAL MAGAZINE /magazine 32 32 ゆる鉄ギャラリー /magazine/archives/3447?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e3%2582%2586%25e3%2582%258b%25e9%2589%2584%25e3%2582%25ae%25e3%2583%25a3%25e3%2583%25a9%25e3%2583%25aa%25e3%2583%25bc /magazine/archives/3447#respond Thu, 16 Mar 2023 05:25:24 +0000 /magazine/?p=3447 中井 精也〈なかい せいや〉鉄道写真家 1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している…

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中井 精也〈なかい せいや〉鉄道写真家

1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。 著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

 

世界中の鉄道にあふれる笑顔たち

 

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ローカル線の希望の星 只見線全線復旧!

 

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旅情とスリルに満ちたイタリア・ミラノの鉄道情景

 

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湘南の魅力を凝縮!「江ノ電」のある風景

 

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まるで絵本の挿絵のようなリスボントラムのある風景

 

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不死鳥のように走り続ける奇跡のローカル線 -銚子電気鉄道-

 

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桜が輝く瞬間を撮る!

 

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世界有数の絶景ここにあり -鉄道大国タイの路線を紹介-

 

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乗っても良し、撮っても良しの絶景路線 -根室本線-

 

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昔懐かしい「国鉄旅情」を楽しもう! -長良川鉄道-

 

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絶景! スイス鉄道

 

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日本海の絶景とともに -五能線-

 

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満開!お花見ステーション

 

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厳冬の釧網本線

 

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息をのむほど美しい絶景紅葉路線

 

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暗闇を照らす一筋の希望 -三陸鉄道-

 

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世界一おすすめの ゆる鉄!

 

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鉄道が持つゆるさや旅情を写す「ゆる鉄」

 

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[最終回] 世界中の鉄道にあふれる笑顔たち /magazine/archives/6652?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e4%25b8%2596%25e7%2595%258c%25e4%25b8%25ad%25e3%2581%25ae%25e9%2589%2584%25e9%2581%2593%25e3%2581%25ab%25e3%2581%2582%25e3%2581%25b5%25e3%2582%258c%25e3%2582%258b%25e7%25ac%2591%25e9%25a1%2594%25e3%2581%259f%25e3%2581%25a1 /magazine/archives/6652#respond Thu, 16 Mar 2023 05:24:48 +0000 /magazine/?p=6652 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也 先日、高校時代に撮影した国鉄時代のローカル線の写真を何げなくSNSにアップした時のこと。今は三陸鉄道リアス線になっている国鉄盛線という路線の写真で、撮影したのは1983年の…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

左上/大井川鐵道(静岡県)、右上/バングラデシュ鉄道(バングラデシュ)、
左下/サルデーニャ鉄道(イタリア)、右下/長良川鉄道(岐阜県)

先日、高校時代に撮影した国鉄時代のローカル線の写真を何げなくSNSにアップした時のこと。今は三陸鉄道リアス線になっている国鉄盛線という路線の写真で、撮影したのは1983年の夏。当時、鉄道研究部に所属していた僕が、列車に乗る直前に何げなく撮ったスナップ写真です。僕はれい駅に進入してくる気動車をメインに、ホームに立つ身重のお母さんと手をつなぐ女の子を入れて撮影しました。

するとSNSに上げた写真を見た女性から「これは私の家族です!」というメッセージをいただきました。その女性は写真に写っている人物ではなく、なんとお母さんのおなかの中にいた赤ちゃんでした。写真に写っているお母さんとお姉さんは今もお元気で、この写真がきっかけとなり思い出話に花が咲いたそうです。

お母さんが着ているマタニティーウェアは、今も大切に持っているということ。お姉さんのかぶっていた帽子は、今は亡き祖父が買ってくれたものだということ。女性はこれまで知らなかった、家族にまつわるエピソードを知ることができてタイムスリップしたかのような気持ちになりましたと伝えてくれました。そしてメッセージには、3人の今の姿を捉えた1枚のスナップ写真が添えられていたのです。わざわざお父さん抜きで、僕の写真の登場人物のみで撮ったという(笑)記念写真に写る3人は、みんな笑顔。その写真を見た時、なぜか僕は涙を流してしまいました。

甫嶺駅付近は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた場所でもあります。40年前のローカル線の日常を写した1枚の写真と、現在の笑顔の記念写真の間には、さまざまなドラマがあったに違いありません。昔たまたま写った人物から連絡をもらっただけという特別に感動的なストーリーではありませんが、写真が持つ不思議な力を強く感じると同時に、今ある穏やかな日常は何げない瞬間の積み重ねなのだなと、強く心を揺さぶられるエピソードになりました。

ミャンマー国鉄(ミャンマー)

 

スイス国鉄(スイス)

 

小湊鐵道(千葉県)

 

撮りたいのは大切で、もろい日常風景

ミャンマー国鉄(ミャンマー)

このゆる鉄ファインダーの連載を開始したのは、2020年5月に発行された2020年初夏号。あれから3年の月日が経ち、世界は大きく変わりました。

世界的な疫病のまんえん、政治家の暗殺、戦争の勃発など、後世の歴史の教科書に掲載されそうなレベルの事象が次々と起こり、この先どんな未来が待っているのか、連載開始当時よりも見えにくくなっていることに驚かされます。

そんななか改めて実感しているのが、日常の大切さです。僕たちが当たり前だと思っている日常がいかに大切で、いかにもろいものであるかを身に染みて感じるようになりました。だからこそ僕は今まで以上に大切に、鉄道が走る日常風景に向けてシャッターを切りたいと強く思っています。

東海道本線(静岡県)

 

少年の夢を後押しした写真の力

三陸鉄道の運転士になったばかりの若者(岩手県)

最終回である今回、僕が選んだ作品は世界中の鉄道で出会った笑顔の写真たちです。

上の写真は、三陸鉄道で運転士になったばかりの若者を撮影したもの。手にしているのは、彼が小学生の頃に僕が撮影したスナップ写真です。その写真を撮影した2012年当時、僕は旅で出会った人の笑顔の写真を撮らせてもらい、その人の夢を聞く『DREAM TRAIN』という作品の撮影に取り組んでいました。そんな時に、三陸鉄道北リアス線沿線で出会ったのが、雪遊びをする小学生。その夢はずばり、「三陸鉄道の運転士になるっ!」でした。それから8年半後、見事に夢をかなえた瞬間の笑顔は少しぎこちないけれど、夢をかなえたという自信に満ちた表情は、今も忘れられません。

そのほかの全ての笑顔にも、僕の知らない素敵なエピソードがあふれているに違いありません。

そう、ここに掲載した全ての写真は、世界中の鉄道を旅して集めた、僕の大切な宝物なのです。

KRLコミューターライン(インドネシア)

 

人を癒やす写真の力を信じたい

ベトナム統一鉄道(ベトナム)

写真にはさまざまな力があります。戦争や被災地の厳しい現実をダイレクトに伝える、写真本来が持つ強い力。魅力的でないものを魅力的に見せる、うそっぱちの力も写真の力です。でも僕が信じたいのは、僕の写真を見た時に思わず笑顔になるような、優しい写真の力です。

ここに写っている笑顔の多くは撮り手である僕に向けられたものですが、僕の写真を通して被写体の人たちの笑顔は写真を見ている人に向けられ、そして写真を見る人もまた、笑顔になるのです。

写真の力で世界を変えたい。なんて大仰なことは言えないけれど、僕の写真を見た人のうちのたった一人でも笑顔になり、心が穏やかになれば、僕はとても幸せなのです。これからも僕は素敵な笑顔を探して、世界中の鉄道の旅を続けていきたいと思います。

3年にわたる連載をご覧いただき、ありがとうございました。

三陸鉄道リアス線(岩手県)

 

 

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〈なかい せいや〉
1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.17] ローカル線の希望の星 只見線全線復旧! /magazine/archives/6106?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e3%2583%25ad%25e3%2583%25bc%25e3%2582%25ab%25e3%2583%25ab%25e7%25b7%259a%25e3%2581%25ae%25e5%25b8%258c%25e6%259c%259b%25e3%2581%25ae%25e6%2598%259f%25e3%2580%2580%25e5%258f%25aa%25e8%25a6%258b%25e7%25b7%259a%25e5%2585%25a8%25e7%25b7%259a%25e5%25be%25a9%25e6%2597%25a7%25ef%25bc%2581 /magazine/archives/6106#respond Mon, 23 Jan 2023 04:36:54 +0000 /magazine/?p=6106 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也   11年ぶりに全線復旧を果たした只見線 2022年10月1日、災害により実に11年にわたって一部区間の運休が続いていたJR只見線が、全線復旧を果たしました。上の…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

約11年ぶりとなる只見線復旧の日。下りの一番列車が到着すると、只見駅は歓声に包まれた(2022.10.1/只見駅)

 

11年ぶりに全線復旧を果たした只見線

2022年10月1日、災害により実に11年にわたって一部区間の運休が続いていたJR只見線が、全線復旧を果たしました。上の作品は、下りの一番列車が只見駅に到着したシーン。車両故障で約4時間も到着が遅れるという予期せぬトラブルがありましたが、待ちに待った全通列車が現れると、住民や全国から集った只見線ファンから大きな歓声が上がりました。「おかえり」と書かれた横断幕と、みんなの笑顔に、失われた期間の長さを実感しました。

 

誰もが認める日本有数の絶景路線

只見線は福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ、全長135.2キロメートルのローカル線。その車窓風景は実に変化に富んでいます。会津若松駅から会津坂本駅にかけての区間は、広大な田園が広がる会津盆地のなかを走ります。なかでも圧巻なのは、蓋沼森林公園付近から見下ろす会津盆地と只見線の風景(下の写真)。見渡す限り続く広大な田園風景を、只見線がのんびりと横切る光景は、ここでしか見られない絶景と言えるでしょう。

会津坂本駅から只見駅までの区間では、只見川の中流部に広がる深い渓谷に沿って列車が走ります。渓谷といってもゴツゴツした岩場ではなく、雄大でありつつ穏やかで優しい只見川の絶景に心が癒やされます。只見駅を過ぎ、県境に位置する六十里越ろくじゅうりごえトンネルを越えて新潟県に入ると、さらに車窓風景は一変。緩やかな只見川とは全く表情が違う末沢すいざわ川、破間あぶるま川の険しい渓谷に沿って列車は進みます。入広瀬駅を越えると再び車窓に田園が見え始め、魚沼盆地に入れば終点の小出駅に到着です。

広大な会津盆地を行く(2021.6.10/会津高田~根岸)

 

ハイライトは第一只見川橋梁

そんなバラエティーに富んだ沿線風景のハイライトは「第一只見川橋梁きょうりょう」です。只見川の渓谷に架かる藤色の鉄橋は、八つある只見川に架かる鉄橋の中で最もフォトジェニック。紅葉の時期(下の写真)はもちろん、新緑から雪景色まで、四季折々にドラマチックな絶景が展開します。道の駅「尾瀬街道みしま宿」から整備された山道を使って、撮影場所まで20分ほどで簡単に登れるのもうれしいところです。

きんしゅうの第一只見川橋梁(2021.11.6/会津桧原~会津西方)

 

下の夜景も、第一只見川橋梁です。こちらは鉄橋を挟んで道の駅と反対側の川岸にある、通称「船着き場ポイント」から撮影したもの。23時過ぎの最終列車が天の川の下を走るような光景は、まるで銀河鉄道そのもの。幻想的な風景にうっとりしながら撮影しましたが、実は熊が出るのではないかと、内心ビクビクしていました(笑)。

満天の夜空の下、第一只見川橋梁を渡る(2021.6.10/会津桧原~会津西方)

 

只見川の絶景に溶け込む集落の風景

下の写真は、会津中川駅に近い大志集落をかん撮影したもの。都会にあっても浮いてしまいそうな派手な色彩の屋根が、会津の風景に見事に溶け込んでいるのに驚かされます。自然と調和する色を見つける日本人の色彩感覚はスゴいなぁと改めて感じました。

まるでスイス? 只見川流域の絶景(2021.11.6/会津中川~会津川口)

 

今回復旧した会津川口駅から只見駅にかけての区間にも、会津らしい集落の風景が広がります。下の写真は、只見駅に近い叶津川橋梁を行く、復旧記念列車。懐かしい客車列車が、かやぶき屋根を持つ関所跡の風景に良く似合います。ここに列車が通るのは、実に11年ぶり。撮りたくて待ち焦がれたこの風景に、胸が熱くなりました。

復旧区間で試運転する復興記念列車(2021.9.6/会津蒲生~只見)

 

壊滅的な被害からの奇跡的な復活劇

只見線は2011年7月に発生した新潟・福島豪雨の被害により、会津川口〜只見間27.6キロメートルが不通になりました。その被害は甚大で、第五、第六、第七只見川橋梁の三つが流失。多くの箇所で路盤や盛土の流出、土砂流入などが発生しました。2年後にJRが発表した復旧・安全対策費用は、たったの総額約85億円。あまりに少ない数字に、僕を含めた多くの鉄道ファンが只見線の将来を絶望視するなか、只見線沿線住民は決して諦めず、只見線の魅力を日本だけでなく世界に向けて発信し続けました。それが功を奏し、只見線は台湾などを中心として世界中から多くの人が訪ねる、有名観光地になったのです。その流れを受けた行政側も只見線は地域振興に必要と判断。JRに只見線の復旧・存続を要請します。さらに福島県と沿線自治体、民間企業や銀行、地元住民や鉄道ファンによる募金を合わせて、なんと約24億円もの「只見線復旧基金」が集められ、復旧に向けた覚悟を表したのです。

そして、巨額の復旧費用は、国、福島県と沿線17自治体、JR東日本の折半で負担、復旧後の鉄道施設の保有・維持管理は福島県が、運行はJR東日本が担う「上下分離方式」の採用が決定。

只見線はまるでドラマのような、奇跡的な復旧を果たしたのです。

とはいえ、今回復旧した区間の運転本数は1日たったの3往復。このことからも、今回の復旧は、単に運賃収入を得るためだけではなく、只見線を存続させることによる莫大な経済効果を認めたからにほかなりません。

「鉄道がある価値」を全国に知らしめた只見線は、日本中で赤字にあえいでいるローカル線の希望の星として、明るい未来へ走り続けているのです。

季節はゆっくりと冬へ
(2020.12.21/会津坂本~会津柳津)

 

 

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〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.16] 旅情とスリルに満ちたイタリア・ミラノの鉄道情景 /magazine/archives/5956?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%2597%2585%25e6%2583%2585%25e3%2581%25a8%25e3%2582%25b9%25e3%2583%25aa%25e3%2583%25ab%25e3%2581%25ab%25e6%25ba%2580%25e3%2581%25a1%25e3%2581%259f%25e3%2582%25a4%25e3%2582%25bf%25e3%2583%25aa%25e3%2582%25a2%25e3%2583%25bb%25e3%2583%259f%25e3%2583%25a9%25e3%2583%258e%25e3%2581%25ae%25e9%2589%2584%25e9%2581%2593%25e6%2583%2585 /magazine/archives/5956#respond Mon, 28 Nov 2022 06:46:44 +0000 /magazine/?p=5956 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也   世界で最も美しいミラノ中央駅 今回はイタリアのミラノから、ミラノ中央駅とトラムのある風景をご紹介します。 近代建築の3大巨匠の一人として有名な建築家フランク・…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

夕闇迫る巨大なトレインシェッド。停車中の高速列車ITALOと比べれば、その規模の大きさがわかる。(2017.2.10/ミラノ中央駅)

 

世界で最も美しいミラノ中央駅

今回はイタリアのミラノから、ミラノ中央駅とトラムのある風景をご紹介します。

近代建築の3大巨匠の一人として有名な建築家フランク・ロイド・ライトが「世界で最も美しい駅」と称賛したミラノ中央駅。リバティ様式やアール・デコなど混合様式である駅舎は、まるで建物そのものが美術館か大聖堂のよう。ヨーロッパ各都市のターミナル駅は、その国の権力を象徴する存在なのですが、このミラノ中央駅もご多分に漏れず建設当時首相だったベニート・ムッソリーニの意向によって、権威主義的なデザインが付加された荘厳で豪華なデザインとなりました。

僕が初めて訪ねた時まず驚いたのは、その規模の大きさ。ミラノ中央駅舎前面の幅はなんと200メートル、そして天井高は72メートルもあるため、日本の駅舎サイズに慣れてしまっている僕は、一歩入っただけで圧倒されてしまいました。

 

そこにあるもの全てが魅力的な被写体

さらに圧倒されるのはプラットホーム部分に架かるトレインシェッド。いわゆるホームに架かる鉄とガラスでできたカマボコ型の屋根なのですが、そのサイズが全長341メートル、6万6千平方メートルという信じられない大きさになっています。上の作品の列車のサイズに注目してもらうと、そのサイズ感がわかると思いますが、訪ねるたびに「デカっ!」と思わず声を上げてしまいます。

駅舎とプラットホームだけでなく、発着する列車のデザインや、ホームを行き交う乗客やスタッフのファッション、時刻表掲示板に至るまで、とにかくオシャレ! どこにレンズを向けても絵になります。

駅舎そのものが芸術作品(2017.2.3/ミラノ中央駅)

 

掲示板ですらフォトジェニック!( 2017.2.2/ミラノ中央駅)

 

真紅のフェラーリ特急ITALO

ローマ・テルミニ駅に次いでイタリアで2番目に乗降客数が多いミラノ中央駅には、国内列車だけでなく国際列車を含めて1日に約500本の列車が発着しています。

中でも目を引くのが、真っ赤なボディーを持つ高速列車ITALO。かのフェラーリの会長であるモンテツェモロ氏が創業したことで「フェラーリ特急」と呼ばれるITALOは、トレニタリア(旧イタリア国鉄)の線路を借りて、民間運行事業者がユニークな試みとして走らせている豪華な高速列車です。

もちろんトレニタリアにもほぼ同じ区間を走る「フレッチャロッサ」という高速列車があるため、お互いが切磋琢磨せっさたくましてサービスや料金を競い合うという、乗客にはうれしい現象も起きています。

日本よりもかなり柔軟なイタリアの鉄道。日本の新幹線にも、こんな列車を走らせる企業が登場したらいいのになぁ。

フェラーリ特急と呼ばれる豪華高速列車ITALO(2017.2.2/ミラノ中央駅)

 

愛すべき古豪ヴェントット

続いてご紹介するのはミラノのトラム。ミラノには33系統、総延長にして100キロメートルを超えるトラムが健在です。新旧さまざまな車両がありますが、僕のおすすめは1500形というレトロな車両。この車両が誕生したのはなんと1928年なので、イタリア語で「28」を意味するヴェントット(Ventotto)という愛称で親しまれています。90年以上住民の足として走り続けたトラムは実にフォトジェニック。

何もかもがドラマチックなミラノの街(2017.2.3/ミラノトラム セッテンブリーニ通り電停)

 

まるでタイムスリップしたかのようなミラノの市電旅情を、モノクロ写真で組み写真にしてみました。上の写真は電停でキスするカップル。2人の口唇が離れるまで忍耐強く待ち続ける運転士さん、偉いよなぁ(笑)。下の車内で撮った親子の写真は、映画のワンシーンみたいでしょ?

まるで無声映画のワンシーンのよう(2017.2.3/ミラノトラム 車内)

 

スリや置き引きには要注意!

そんな旅情たっぷりでレトロなミラノのトラムは、観光客に大人気。つい夢中で撮影してしまいがちですが、くれぐれも注意したいのがミラノ名物ともいえるスリや置き引きです。空いている車両ならまだ安心ですが、観光客で混み合ったトラムやドゥオモ広場などの観光地は大変危険。肩をたたかれたり、陽気に話しかけられたりしたら、まずはスリだと思い、返事するより先に持ち物を守りましょう。

なんて偉そうに言う僕にも、冷や汗ものの思い出があります。緊張感とともにトラムやドゥオモ広場を撮影しミラノ中央駅に戻った僕は、ほっとしつつベンチで水を飲んでいました。ベンチの背後は芝で、その奥はロータリーの道路になっている安心感もあり油断していたのですが、ふと気配を感じて振り返ると、なんと泥棒が僕のカメラバッグを持っているではあ〜りませんか! バッチリ目が合った瞬間、「オオィィッ!」という自分でも自分の声とは思えないような、藤岡弘、バリの大声を出した僕。その声にビクッとした泥棒はその場所にカメラバッグを落とし、走り去っていきました。バッグの中には発売前のカメラ一式とパスポートが入っていたので、もしあのままロータリー方面に走っていかれたら、終わっていました。その一部始終を見ていた周囲のタクシードライバーから「ブラボー!」をいただきましたが(笑)、肝が冷えた体験になりました。

そんなスリリングな体験も、駅で感じた旅情も、今となっては良い思い出。またミラノの街を撮影できる日を心待ちにしています。

ドゥオモ広場前を行くトラム
(2017.2.3/ミラノトラム ドゥオモ電停付近)

 

 

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[vol.15] 湘南の魅力を凝縮!「江ノ電」のある風景 /magazine/archives/5833?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25b9%2598%25e5%258d%2597%25e3%2581%25ae%25e9%25ad%2585%25e5%258a%259b%25e3%2582%2592%25e5%2587%259d%25e7%25b8%25ae%25ef%25bc%2581%25e3%2580%258c%25e6%25b1%259f%25e3%2583%258e%25e9%259b%25bb%25e3%2580%258d%25e3%2581%25ae%25e3%2581%2582%25e3%2582%258b%25e9%25a2%25a8%25e6%2599%25af /magazine/archives/5833#respond Wed, 21 Sep 2022 07:32:29 +0000 /magazine/?p=5833 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也 今回は神奈川県を走る江ノ島電鉄、通称「江ノ電」をご紹介します。日本にはたくさんのローカル鉄道がありますが、この江ノ電ほど知名度の高い路線はほとんどありません。関東以外に住ん…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

9月に開催される龍口法難会。お祭りの風景と300形電車が郷愁を誘う
(2018.9.11/江ノ島~腰越)

今回は神奈川県を走る江ノ島電鉄、通称「江ノ電」をご紹介します。日本にはたくさんのローカル鉄道がありますが、この江ノ電ほど知名度の高い路線はほとんどありません。関東以外に住んでいる人でも、それこそ鉄道に全く興味のない人でも「江ノ電」と聞けばほとんどの人がピンとくるのではないでしょうか? 全長たった10キロメートルしかない小さなローカル私鉄が、なぜこれほど多くの人を引き付けるのでしょう?

 

路面電車以上、鉄道未満。独特の江ノ電スタイル

藤沢駅と鎌倉駅を結ぶ江ノ電の全長は10キロメートル。その短い区間に15の駅があり、30分以上かけてのんびりと走ります。急カーブが多い線形から車両のサイズが通常の鉄道車両より小さいことと、車と同じ道路を走る区間があることから路面電車だと思われがちですが、れっきとした鉄道路線です。ただ路面電車だと思われるのもまんざら間違いではなく、もともと江ノ電は軌道線(路面電車)として開業し1945年に鉄道に格上げされた歴史があり、鉄道としては日本一急な半径28メートルのカーブが残されていたり、車道と電車が一緒に走る併用軌道が残されているのもその名残です。路面電車ではなく、通常のサイズの電車が併用軌道を走るのはとても珍しく、現在ではここ江ノ電と熊本電鉄の2カ所に残るのみの貴重な存在になっています。

江ノ電に残されている「併用軌道区間」は3カ所。そのなかで一番の見どころは江ノ島駅から腰越駅にかけての区間です。ここでは両側に商店街が連なる片側一車線の道路の真ん中に、江ノ電の線路が敷かれています。

毎年7月の「小動こゆるぎ神社天王祭」、9月の「龍口法難会たつのくちほうなんえ」の開催時には、道路を祭事に開放するために併用軌道区間の車道が通行止めになるのですが、なんと江ノ電は通常運行。威勢のよい掛け声とともにみこしを担ぐ祭人のすぐ脇を、江ノ電がさっそうと通過していきます。他の鉄道では絶対にあり得ない、スリリングな光景が見られます。

人々の暮らしのど真ん中を、民家をすり抜けたり、車をどかしたりしながら堂々と走る電車。ここでしか見ることのできない旅情あふれる風景です。「路面電車以上、鉄道未満」とも言える独特なスタイルが、江ノ電の大きな魅力なのです。

日常生活の中を抜けて(2017.5.27/江ノ島~腰越)

 

併用軌道の愛すべき日常風景(2012.9.15/江ノ島~腰越)

 

住民との信頼感が生むぬくもりの風景

江ノ電で活躍している電車は路面電車よりは大きいですが、通常の鉄道車両に比べると一回り小さく、とってもキュート。特に1960年から走り続けている305形電車は、昔懐かしい板張りの床が健在。昔の江ノ電の雰囲気を残すデザインも人気で、江ノ電のマスコット的な存在になっています。鉄道ファン的な視点では、急カーブに対応するために車両と車両のつなぎ目に台車が配置されている「連接車」なのも萌え要素です(笑)。

併用軌道を抜けて腰越駅を過ぎると、線路の両側に立ち並ぶ民家をかすめるように急カーブが連続します。下の写真は線路脇のお庭に入れていただいて、魚眼レンズで撮影したもの。塀スレスレの位置をかすめるように急カーブを駆け抜ける江ノ電は、迫力満点。この近さが、人と電車の信頼関係を築いているのでしょう。

民家スレスレの急カーブ(2017.5.30/腰越~鎌倉高校前)

 

ハイライトは湘南の海と江の島の絶景

腰越から民家の軒先をかすめるように進み、大きく左にカーブすると、突然車窓いっぱいに湘南の海が広がり、思わず息をのみます。美しい海とそこに浮かぶ江の島を望む湘南の風景こそ、江ノ電人気の最大の理由の一つなのです。運が良ければ富士山も望める海岸にはサーフィンやセーリングを楽しむ人たちも多く、ここだけゆったりとした時間が流れているように感じます。そしてそこで暮らしている地元の人たちが実にカッコいい! 自転車の脇にさりげなくボードを載せていたり、愛犬と夕日を眺めていたり、まさに湘南スタイルをさらっとこなしているところに憧れてしまいます。

運が良ければ富士山の絶景が望めることも(2017.5.27/腰越~鎌倉高校前)

 

湘南の夕景を映して。奥に江の島も見える(2010.1.22/七里ヶ浜~稲村ヶ崎)

 

と、いうわけで…テレビ番組のロケでサーフィンに挑戦しながら江ノ電を撮影したのが下の作品。実を言うとカナヅチな僕。着慣れないドライスーツになんとか体を押し込み、押し寄せる波にパニックになりながら、(自分の中では)荒れ狂う波間に江ノ電が見えた瞬間を激写したつもりでしたが、写真を見た自分がビックリするほど海はいでいました(笑)。でもサーファー越しに見る江ノ電の姿こそ、まさに湘南を代表する風景だと思いません? やっぱり江ノ電は、湘南の風景になくてはならない存在なのです。

サーフィンしながら撮影!(2017.5.28/七里ヶ浜~稲村ヶ崎)

 

憧れの湘南スタイル(2010.1.22/鎌倉高校前駅付近)

 

その生い立ちに由来した独特なスタイルの電車と、地元住民との深い絆が生み出すぬくもりの風景。そして何より湘南の海と江ノ電の可愛い電車が織りなす、唯一無二の風景。江ノ電の線路には、湘南の魅力がギューッと凝縮されていました。

白い帆が青い海とボディーに映える(2017.5.28/鎌倉高校前駅付近)

 

 

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〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.14] まるで絵本の挿絵のようなリスボントラムのある風景 /magazine/archives/5669?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e3%2581%25be%25e3%2582%258b%25e3%2581%25a7%25e7%25b5%25b5%25e6%259c%25ac%25e3%2581%25ae%25e6%258c%25bf%25e7%25b5%25b5%25e3%2581%25ae%25e3%2582%2588%25e3%2581%2586%25e3%2581%25aa%25e3%2583%25aa%25e3%2582%25b9%25e3%2583%259c%25e3%2583%25b3%25e3%2583%2588%25e3%2583%25a9%25e3%2583%25a0%25e3%2581%25ae%25e3%2581%2582%25e3%2582%258b /magazine/archives/5669#respond Tue, 19 Jul 2022 01:44:42 +0000 /magazine/?p=5669 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也 今回は僕が世界で一番好きなポルトガル・リスボントラムをご紹介します。 リスボンで、最もおすすめしたい撮影スポットは、上の写真を撮影した旧市街のアルファマ地区にあるCç. S…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

信じられないほど狭い路地をトラムが行く(2019.9.6/Cç. S. Vicente停留所付近)

今回は僕が世界で一番好きなポルトガル・リスボントラムをご紹介します。

リスボンで、最もおすすめしたい撮影スポットは、上の写真を撮影した旧市街のアルファマ地区にあるCç. S. Vicente停留所付近です。ここはリスボントラムで最も狭い路地で、住宅すれすれの位置をトラムが無理やり通ります。黄色い家並みの奥からトラムがヒョコッと顔を出す様子は、世界中どこを探しても見つけることができないワンダーな鉄道風景といえるでしょう。

この黄色と白のツートンカラーのかわいい市電の姿は、鉄道に興味がない人でも見覚えがあるのではないでしょうか? ポルトガルのガイドブックの表紙には必ずトラムが登場しますし、空港や市内のお土産物屋さんに行けば、トラム関連の商品がずらりと並んでいます。単なる乗り物を超えて、ポルトガルという国全体のマスコット的存在になっているすごい路面電車なのです。

 

外観を維持したまま車内の機器を更新しポルトガルの観光を支えるトラム

リスボン市電の顔となっている黄色と白のレトロなトラムは、1930年代に造られた車両ですが、1990年代に大規模な改修が行われ、レトロな外観を除くほとんどの機器が更新されています。いわばボディだけを残して中身は新車にするようなものなので、かなりの手間とコストが掛かったと思いますが、そうすることでランドマークでもある旧市街のレトロなトラムの風景は守られ、それがまた多くの観光客を世界中から呼んでいます。

日本では古くなったらすぐに新型車両にしてしまいがちですが、古いモノの価値をきちんと認識し、それを観光資源として活かしていくスタイルを、ぜひ参考にしてほしいと思います。

 

トラムで旧市街のアルファマ地区を散策

リスボントラムの総延長は、現在約48キロメートル。かつては28系統もの路線が網の目のように走っていましたが、世界中のほかの都市と同じくモータリゼーションの波に押されて廃止やバスへの転換が進み、今は6つの系統のみの運行になってしまいました。

夕日に輝くリスボン大聖堂(2014.11.25/Sé停留所付近)

 

そんななか人気なのが旧市街を走る12E系統と28E系統の2路線です。この路線はアルファマ地区を走るため「ヨーロッパ最後の田舎」と称されるリスボンのノスタルジックな街並みを堪能することができます。この地区には上の写真のリスボン大聖堂前のほか、左下のテージョ川をバックに坂道を上ってくるトラムの線路、右下のバイシャ市電通りや、その哀愁あふれる石畳(表紙写真)など、フォトジェニックな撮影地がたくさんあります。オレンジ色の瓦屋根と色とりどりの外壁を持つかわいい家がひしめき合う風景は、まるで絵本のワンシーンのよう。迷路のような狭い路地の隙間から、かわいいトラムが飛び出してくる風景は、実にフォトジェニック! どこにカメラを向けても「映える」街なのです。

まるで海のようなテージョ川を望む(2019.9.6/Graça停留所付近)

 

活気あふれるバイシャ市電通り(2014.11.27/Igreja Sta. Maria Madalena停留所付近)

 

いろいろアツい! トラム撮影

そんなリスボントラムも、撮影しようとすると結構苦労します。まずトラムが走る道が信じられないほど狭く、そこにトラムと車が「我先に」と突っ込んできます。なぜかどんなに狭い道でも一方通行ではなく両方向から車が突進し、さらにどこでも好き勝手に駐車するため、旧市街はいつもしっちゃかめっちゃか(笑)。おじさんが線路上に車を止めて郵便局に行ってしまうなんてこともザラにあるので、15分間隔で運行するはずのトラムが45分待っても全く来ず、来たと思えば3両ダンゴになっているなんてこともよくあります。そんな状況なのでトラムに乗車しての撮影では計画が立たず、かといってレンタカーでは駐車場所がなかなか見つからず、やっと止めて撮影から戻ったら前後5センチくらいの隙間でピッタリ駐車されていて大ピンチになったこともありました。

そこで僕がひらめいたのが、レンタルバイクを使っての撮影。100㏄の日本製バイクを借りることにしたのですが、ここでも思わぬピンチに陥りました。ポルトガルも日本同様ヘルメットの着用が義務付けられているのですが、なんと僕の頭が大きすぎてバイク屋さんにあった20個のヘルメット全部が入らないという事態に…。最後の1個をかぶってダメだった時、初めてポルトガル人の「Oh my god!」を生で聞くことができました(笑)。

結局バイク屋のおじさんが、頭の大きい友達に個人所有のヘルメットを借りてくれて一件落着。置き場所に困らないし、狭い街をスイスイ走れるバイクでの撮影は最高にはかどりましたが、ワールドワイドで自分の頭がデカいことを知り、ちょっと切なくなりました。

暮らしに溶け込むトラムを迎える早朝(2014.11.27/Graça停留所付近)

 

街を彩るブーゲンビリア(2019.9.7/Miradouro Sta. Luzia停留所付近)

 

迷路のような街をトラムが行く

コロナ禍も一段落し、ようやく海外旅行に行ける日も近付いてきました。中世のたたずまいを今に残す迷宮のようなリスボンの街をかわいいトラムが走る姿は、鉄道に興味がない人でも感動すること間違いなし。1日フリー切符を買えば、トラム入り口の機器にピッとするだけで簡単に乗れるので、トラムを足代わりにリスボンの街を散策してみてはいかがでしょう? その際、スリと置き引きと、ヘルメットのサイズにはくれぐれも気を付けましょう(笑)。

リスボン名物のケーブルカーと、整備士
(2014.11.27/Calhariz(Bica)停留所付近)

 

名物のタイル「アズレージョ」
(2014.11.27/R. Escolas Gerais停留所付近)

 

 

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〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.13] 不死鳥のように走り続ける奇跡のローカル線 -銚子電気鉄道- /magazine/archives/5543?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e4%25b8%258d%25e6%25ad%25bb%25e9%25b3%25a5%25e3%2581%25ae%25e3%2582%2588%25e3%2581%2586%25e3%2581%25ab%25e8%25b5%25b0%25e3%2582%258a%25e7%25b6%259a%25e3%2581%2591%25e3%2582%258b%25e5%25a5%2587%25e8%25b7%25a1%25e3%2581%25ae%25e3%2583%25ad%25e3%2583%25bc%25e3%2582%25ab%25e3%2583%25ab%25e7%25b7%259a-%25ef%25bc%258d%25e9%258a%259a /magazine/archives/5543#respond Mon, 23 May 2022 02:08:03 +0000 /magazine/?p=5543 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也 今回ご紹介するのは、千葉県を走る銚子電気鉄道です。「銚電」と呼ばれ、みんなに親しまれているこの鉄道は、総武本線の銚子駅と外と川かわ駅を結ぶたった6.4キロメートルのローカル…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

ジャングルのような線路をレトロな電車が行く(2014.4.23/本銚子駅付近)

今回ご紹介するのは、千葉県を走る銚子電気鉄道です。「銚電」と呼ばれ、みんなに親しまれているこの鉄道は、総武本線の銚子駅とかわ駅を結ぶたった6.4キロメートルのローカル私鉄。銚子半島の穏やかな風景のなかをのんびりと走るこの路線のイメージを一言で表すと、ずばり「ゆるい!」。ローカル線に乗っている時に感じるゆる〜い雰囲気を被写体とする「ゆる鉄」作品をライフワークにしている僕にとっては、なくてはならない存在なのです。

度重なるピンチでまさに絶体絶命!?

「銚電がいよいよ廃止になるらしい…」。そんなうわさを聞いて、僕が初めて銚子電鉄を訪ねたのは中学2年の時。

その頃はまだ旧型電車がたくさん残っていて興奮しながら撮影しましたが、一番驚いたのは観音駅で見た光景でした。当時の観音駅にはたい焼き屋さんがあったのですが、たい焼きに入れるあんこの一斗缶を半分に切って、なんと「お手製のちり取り」として50円で販売していたのです。当時14歳だった僕は、この鉄道は本当に貧しいんだなぁ…と心を痛めたのをよく覚えています。あれから約40年、今日も元気に銚電は走り続けていますが、その陰には壮絶なドラマがありました。

銚子電鉄は沿線の過疎化や観光客の減少により苦しい経営状態が続いていましたが、平成16年に大事件が起こります。なんと当時の社長が約1億円を横領していたことが発覚し、倒産の危機に陥ってしまったのです。そこへ追い打ちをかけるように国土交通省の監査が入り、老朽化した鉄道施設の改善命令が出されます。その費用を見積もると、5000万円。さらに車両の法定検査にかかる1000万円が必要でしたが、当時の会社の預金残高はわずか200万円。誰がどう考えても絶体絶命ですが、そんな状況を救ったのが銚電名物「ぬれ煎餅」でした。

電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。

その時の銚子電鉄に残された武器は、たまたま数年前から製造・販売を始めたぬれ煎餅だけでした。あちこちで販売を試みるも、売り上げはすずめの涙。そこでいちの望みをかけてインターネットを通じて購入を呼びかけます。「ぬれ煎餅を買ってください! 電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」そんな切実な願いが話題を呼び、なんと10日間で1万人以上の人たちが反応し、さらにテレビでも取り上げられ、ぬれ煎餅は爆発的な大ヒット! なんとぬれ煎餅の売り上げで、全ての支払いを賄ってしまったといいます。「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」というフレーズは、毎年発行される現代用語集に掲載されるほどの大フィーバーを巻き起こしたのです。

「地球の丸く見える丘展望館」より太平洋を望む(2022.2.7/君ヶ浜~犬吠)

 

電車を走らせるためにやれることは全てやる

銚子電鉄の経営努力はぬれ煎餅だけではありません。大ヒット商品であるスナック菓子をリスペクトした、(経営が)「まずい棒」や、銚子名物であるサバと経営難からサバイバルすることをかけた駅弁「鯖威張る弁当」などを発売、さらには大ヒット映画をリスペクトした「電車を止めるな! 〜のろいの6.4㎞〜」を自主制作するなど、厳しい経営状況を逆手にとったぎゃく的なコンテンツを次々と展開、常に話題を集めています。下の写真は、毎年夏に運行される「お化け屋敷電車」。ネタバレになるので、詳細は書きませんが、最初は子どもだましだろうと思っていた僕も車内で絶叫するほどの怖さ(笑)。何より、室内灯を真っ暗にして、お化けが浮かび上がったまま銚子の街を走る電車を見て、たまたま通りがかった人が腰を抜かさないかしら?と心配になりました。こんなふざけているような試みも全て、電車を走らせ続けるための必死の経営努力なのです。

夏の銚電名物、お化け屋敷電車(2017.7.22/海鹿島~君ヶ浜)

 

まるで映画のセットのような懐かしい沿線風景

今銚子電鉄を走っているのは、東京の京王線を引退後、愛媛県の伊予鉄道を経て、第三の人生を歩む中古の電車。2枚窓の愛らしいデザインが、旅情をそそります。車内では懐かしい車掌さんも健在。名物車掌さんの爽やかな笑顔や、子どもたちのにぎやかな声に包まれて、ふと外を見ると一面に広がるキャベツ畑。心地よい電車の揺れに体を委ねれば、日常生活で疲れたココロも、癒やされてしまいます。

車内には子どもたちの笑い声が響く(2014.4.24/銚子電鉄車内)

 

車掌さんは銚子電鉄のアイドル的存在
(2014.4.24/銚子電鉄車内)

 

ぜひ訪ねてほしいのが、鹿しかじま駅と君ヶ浜駅の間にある「19号踏切」です。そこにあるのは、冬はキャベツ、夏はトウモロコシが育てられる広大な畑の中にポツンと立つ、ドラマのセットのような素朴な標識だけ。農道にゴロンと寝転んで、19号踏切の奥から吹く海風を感じながらぼ〜っと空を見上げる、そんな時間が、何にも替え難いぜいたくな時間に思えるのです。

19号踏切付近に広がるキャベツ畑(2022.2.7/海鹿島~君ヶ浜)

 

お土産は甘いキャベツと最高の笑顔
(2014.4.23/海鹿島~君ヶ浜)

経営たんの危機にも、東日本大震災にも、コロナ禍にも負けず、たゆまぬ経営努力によって、今日も元気に走る銚子電鉄。オンラインショップで商品を買うことでも応援できますが、ぜひ一度訪ねてみてください。何にも負けず、ひたむきに走り続ける奇跡の鉄道の姿は、きっと皆さんに大きな勇気を与えてくれるはずですよ。

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〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.12] 桜が輝く瞬間を撮る! /magazine/archives/5433?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25a1%259c%25e3%2581%258c%25e8%25bc%259d%25e3%2581%258f%25e7%259e%25ac%25e9%2596%2593%25e3%2582%2592%25e6%2592%25ae%25e3%2582%258b%25ef%25bc%2581 /magazine/archives/5433#respond Thu, 17 Mar 2022 02:25:49 +0000 /magazine/?p=5433 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也   待ちに待った桜のシーズンが近づいてきました。鉄道写真家にとって桜の季節は名作をモノにできるチャンスでもありますが「せっかく桜が満開なんだから、ちゃんと撮らなく…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

列車のライトが夜桜を照らし出す。刻々と変化するショータイムをご覧あれ!
(2021.3.31/わたらせ渓谷鐵道 大間々~上神梅)

 

待ちに待った桜のシーズンが近づいてきました。鉄道写真家にとって桜の季節は名作をモノにできるチャンスでもありますが「せっかく桜が満開なんだから、ちゃんと撮らなくちゃもったいない!」とばかりに、ついつい定番カットばかりを量産してしまいがち。でもこんな時こそ自分が何に感動したのか、そして写真を通して何を伝えたいのかをしっかりと意識して、他の人がどんな写真を撮っているかを気にすることなく、自分ならではの目線で、鉄道と桜を撮るようにしたいところです。

今回は桜の定番スポットをご紹介するだけでなく、作品をお見せしながら、僕がどのような意図で作品作りをしているかを解説してみたいと思います。ぜひ今年の桜の撮影の参考にしていただけたらと思います。

 

列車の明かりが照らす夜桜

上の作品は、群馬県を走るわたらせ渓谷鐵道で撮影したもの。おお駅とかみかんばい駅の間にあるこの場所は、線路の両側が桜並木になっており、4月上旬に桜が満開になると多くのカメラマンでにぎわいます。撮影地では訪ねた時間帯の光線で撮影するしかありませんが、「他の時間帯だったらどんな光線だろう?」という感じで、想像してみることも大切です。僕はあるイメージがビビッと頭に浮かび、誰もいない真っ暗な夜に訪ねてみました。夜に撮影するのはライトアップされた桜が中心ですが、観光地ではないこの場所がライトアップされるはずもありません。桜並木の近くには街灯がいくつかあり、わずかに桜を照らしていますが、それ以外はほぼ真っ暗。ならば、列車のライトに照らし出してもらおうと思い付いたのです。

AE(オート露出)だと、列車のライトの影響を受けて露出アンダー(シャッタースピードと絞りの組み合わせを間違えたために写真が暗くなること)になってしまうので、勘で露出を決めてマニュアルモードで露出を固定。列車が来る前は、下の写真のようにほぼ真っ暗な状態なので不安になりますが…、列車が近づくにつれて徐々に桜がライトアップされていきます。そして列車が桜から顔を出す前のギリギリのタイミングで、この絶景が完成しました。圧倒的なボリュームの桜を、列車のライトが浮かび上がらせた幻想的な一枚。あえて列車を写さないことで、見る人の想像力を刺激できるのではないかと思います。

 

 

 

 

花びらが描く自然のアート

佐賀県にある松浦鉄道の浦ノ崎駅も、駅の両側が桜並木になっていて3月下旬から4月上旬にかけて満開になると、たくさんの人が訪れます。下は駅の待合室。こんなベンチで、ぼ〜っと桜を眺めたくなりませんか?

この待合室でぼ~っとしたいなぁ(2021.3.25/松浦鉄道 浦ノ崎駅)

 

朝早くから撮影を開始しましたが、どの方向から狙っても同じような構図になってしまいます。そこでふと真上を見ると、青空をバックにピンク色の桜が映えていることに気付きました。そこで僕は狙いを大胆に変え、カメラを空に向けて列車を待ちます。列車がかなり大きく写ってしまうので、桜より列車が目立たないように低速シャッターで列車をぶらして撮影します。その結果、流れた列車の窓はまるで鏡のように桜を映し、列車の風で舞った花びらが、まるで筆を走らせたように、幻想的に自由な線を描いてくれました(下の写真)。

桜吹雪が描く幻想的なラインに注目(2021.3.25/松浦鉄道 浦ノ崎駅)

 

気を良くした僕は、列車の風圧が生み出す桜吹雪を狙います。ピントの位置は当てずっぽうで決めて、列車の通過と同時にシャッターを切りまくりました。残念ながら桜吹雪にはなりませんでしたが、運良くたった1枚の花びらがピント面にバッチリ飛んできてくれました(下の写真)。小さな白いハートのような花びらが、列車の側面に映り込み、幻想的でロマンチックな一枚になりました。

たった1枚の花びらが主役(2021.3.25/松浦鉄道 浦ノ崎駅)

 

 

桜と列車が輝く瞬間を模索する

疾走!ハローキティ新幹線(2019.4.7/山陽新幹線 相生~岡山)

 

上のカットは、山陽新幹線に登場したハローキティ新幹線。ピンクが基調のかわいいデザインの車体を春の彩りとともに撮りたくて、線路脇に桜が咲く場所を探し、サイドから流し撮り! 1日1往復だけの運行なのでチャンスはたった1回。緊張しましたが、バッチリ撮ることができました。正直シャープなイメージの500系新幹線に、このかわいいデザインは似合わないのでは? と思っていたのですが、まるで桜の木々を抜ける風のように列車が現れた時、周囲の風景がぱっと明るくなった気がしました。

下は桜並木の中を走る大井川鐵道。主題は窓に映り込んだ桜です。こういうシーンでは桜並木全体を入れて撮りがちですが、ここではあえて窓の部分だけを切り取りました。こんなシーンを見つけるこつは、何といっても乙女ゴコロです(笑)。

列車は春で満員です(2011.4.11/大井川鐵道 田野口~駿河徳山)

 

下の写真は、たる鉄道の谷汲口駅(岐阜県)で撮影した作品。主役は列車ではなく、桜を眺める運転士さん。出発の時間調整のわずかな時間に、運転士さんが外に出て思わず見上げてしまうほどの桜の美しさが表現できたようで、お気に入りの作品になりました。

運転士さんも思わず見上げる絶景
(2019.4.9/樽見鉄道 谷汲口駅)

 

定番写真を撮らなきゃ! という呪縛から解放されると、目が覚めたように周囲がぱっと見えてきます。この春、ぜひ自分だけが見つけることができる桜が輝く瞬間を、探してみてくださいね。

 

 

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[vol.11] 世界有数の絶景ここにあり -鉄道大国タイの路線を紹介- /magazine/archives/5305?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e4%25b8%2596%25e7%2595%258c%25e6%259c%2589%25e6%2595%25b0%25e3%2581%25ae%25e7%25b5%25b6%25e6%2599%25af%25e3%2581%2593%25e3%2581%2593%25e3%2581%25ab%25e3%2581%2582%25e3%2582%258a-%25ef%25bc%258d%25e9%2589%2584%25e9%2581%2593%25e5%25a4%25a7%25e5%259b%25bd%25e3%2582%25bf%25e3%2582%25a4%25e3%2581%25ae%25e8%25b7%25af%25e7%25b7%259a /magazine/archives/5305#respond Fri, 14 Jan 2022 04:57:33 +0000 /magazine/?p=5305 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也   今回のゆる鉄ファインダーでご紹介するのは、タイの鉄道です。タイには東南アジアでは最大規模を誇る約4000キロメートルの鉄道路線がありますが、今回は海外旅行に行…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

世界一エキサイティングな市場の風景(2018.1.16/メークロン駅付近)

 

今回のゆる鉄ファインダーでご紹介するのは、タイの鉄道です。タイには東南アジアでは最大規模を誇る約4000キロメートルの鉄道路線がありますが、今回は海外旅行に行けるようになったら、ぜひ訪ねてもらいたいおすすめポイントを三つご紹介しましょう。

 

市場の中を列車が走るメークロン線

最初にご紹介するのは、タイの首都バンコクの西130キロメートルほどの農村地帯を走るメークロン線。この路線の終着駅、メークロン駅付近では、とれたてのお魚や果物が並ぶ市場のど真ん中を豪快に列車が走る、エキサイティングな鉄道風景を堪能することができます。もともとは線路の両側にあった市場が線路にはみ出してきたもので、何とお客さんは列車が走る線路上を歩きながらショッピングするのです。遠くから列車の警笛が聞こえると、商店のおばちゃんたちは慌てる様子もなく日よけテントをテキパキと畳み、商品をどけていきます。列車にぶつからないように、商品棚がスライド式になっている店まであり、さっきまで市場だったその場所は、あっという間に線路になりました。このドタバタ劇を目当てに世界中からたくさんの観光客が訪れ、今やタイを代表する観光地の一つになりました。

上の写真は列車が通過するシーン。線路上に無造作に置かれた魚は、列車にギリギリ当たらずセーフ! 列車の高さを熟知しているおばちゃんスゲー!と、思わず感心してしまいました。日本の鉄道員なら卒倒しそうな綱渡りの運行ですが、不思議なことにほとんど事故はないそう。「危ないけど、みんな喜んでいるからいいじゃん!」って感じのおおらかな鉄道風景を見て、なぜかちょっとうらやましくなっちゃいました。

 

泰緬鉄道の面影を残すナムトック線

泰緬鉄道の面影を残すアルヒル桟道橋(2018.1.18/タムクラセー橋駅付近)

続いてご紹介するのはバンコクの外れにあるトンブリー駅から出発するナムトック線。この路線は、太平洋戦争時に旧日本陸軍によって建設された「たいめん鉄道」の線路をそのまま使用しており、沿線には当時の歴史を物語る史跡が多く残されています。なかでも一番の見どころは、上の写真「アルヒル桟道橋」でしょう。この橋はクウェー・ノイ川の崖っぷちに敷設された、全長約300メートルの木造橋で、日本軍が爆破した当時のままの岩壁の真下に造られた木橋を、時速5キロメートルまで速度を落とした列車が恐る恐る走ります。あまりにスリリングで背中がゾワゾワするような光景ですが、大興奮しながらシャッターを切りました。下の写真は、映画『戦場にかける橋』として有名なクウェー川鉄橋。この橋を見ているだけで、劇中音楽の「クワイ河マーチ」が聞こえてきそうでしょ? 太平洋戦争当時、ビルマ(現・ミャンマー)への唯一の補給ルートであった泰緬鉄道において、この橋は最重要地点で、最大の難所でもありました。日本軍には「メクロン河永久橋」と呼ばれたこの橋は1943年に完成しましたが、1944年には英米軍によって爆撃され橋桁の一部が崩落。写真右端に写っているトラスの形が違う部分が、爆撃された場所だとか。そんな戦争の傷痕が残るこの鉄橋も、今は世界中から人が訪れる平和な観光地となりました。観光客が自由に鉄橋の線路上を往来し、楽しそうに記念写真を撮る姿を見て、平和っていいな…と、つくづく感じました。

戦場にかける橋に夕陽が沈む(2018.1.18/クウェー川鉄橋駅付近)

 

戦場にかける橋に観光に行く学生さんたち
(2018.1.18/トンブリー駅)

 

偶然見つけた世界有数の鉄道絶景!

最後にご紹介する絶景との出会いは偶然でした。タイ国鉄東北線に乗車していた時のこと。ゲンコーイという駅で、日本製の懐かしい気動車を発見しました。興奮して駅員さんに尋ねると、午後に観光列車として走るとのこと。どこに行く列車かもわかりませんが、懐かしい車両に乗りたい一心で、乗車することにします。発車してしばらくすると、突然車窓に海が広がりました。タイの内陸に何で海が!? と驚きましたが、これがこの観光列車の目的地である「パサックチョンラシッドダム」だったのです。このダムはタイ国王ラーマ9世の発案で、洪水を防ぐために建設されたタイ最大のダム。あまりいい表現ではないですが、入浴剤のような鮮やかな緑色がとても美しく、異国情緒を誘います。でもダムが目的なのに、列車はアクセル全開でぶっとばします。せっかくなら徐行すればいいのに…なんて思っていたら…、何と突然列車が停車、乗客が次々と線路に降りていくではあ〜りませんかっ!? タイ語のアナウンスなのでわからなかったのですが、何とダムのど真ん中で停車し、乗客を降ろしてダムを堪能させてくれる観光列車だったのです。営業列車から線路に降り、写真撮り放題とか、ここは天国ですか?(笑)20分ほどすると車掌さんが笛を吹き、乗客はみんな列車に戻っていきます。でも僕は人がいない風景もどうしても撮りたくて、粘りに粘って撮影したのが1番下の写真。日本製の懐かしい車両が、世界有数の鉄道絶景のなかを走る、夢のようなシーンを撮影できました!

まるで海を横切るような風景(2018.1.18/タイ国鉄東北線)

 

線路上に降りてダムを満喫(2018.1.18/タイ国鉄東北線)

 

パサックチョンラシッドダムをゆく日本製の気動車
(2018.1.18/タイ国鉄東北線)

 

鉄道王国タイには、まだまだすてきな鉄道風景がありそうです。また旅できる日が来たら、ゆっくりと行きタイな(笑)。

 

 

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〈過去にゆる鉄ファインダーでご紹介した写真をこちらからご覧いただけます〉

 

〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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[vol.10] 乗っても良し、撮っても良しの絶景路線 -根室本線- /magazine/archives/5160?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e4%25b9%2597%25e3%2581%25a3%25e3%2581%25a6%25e3%2582%2582%25e8%2589%25af%25e3%2581%2597%25e3%2580%2581%25e6%2592%25ae%25e3%2581%25a3%25e3%2581%25a6%25e3%2582%2582%25e8%2589%25af%25e3%2581%2597%25e3%2581%25ae%25e7%25b5%25b6%25e6%2599%25af%25e8%25b7%25af%25e7%25b7%259a%25ef%25bc%258d%25e6%25a0%25b9%25e5%25ae%25a4%25e6%259c%25ac /magazine/archives/5160#respond Tue, 16 Nov 2021 00:29:10 +0000 /magazine/?p=5160 PDFファイル 文・写真=鉄道写真家 中井精也   いよいよ秋も深まってきましたね。過ごしやすい気候に旅心が募る今、ぜひご紹介したいのが北海道の根室本線です。路線総距離はなんと443.8キロメートルを誇る「本線…

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

別寒辺牛湿原を行く根室本線。車窓風景にタンチョウやエゾシカが見えることも多い
(2019.10.21/厚岸~糸魚沢)

 

いよいよ秋も深まってきましたね。過ごしやすい気候に旅心が募る今、ぜひご紹介したいのが北海道の根室本線です。路線総距離はなんと443.8キロメートルを誇る「本線」なだけに、都市間を結ぶ幹線というイメージを持ちがちですが、実際に乗ってみると日本有数の絶景を味わえる貴重なローカル線なのです。上の作品は、あっけしいとざわ間にある小高い丘からかんうし湿原を行く列車を撮影したもの。見渡す限りの湿原のなかを、真っすぐに伸びる線路。日本とは思えないスケールの大きな風景は、まさにここでしか見ることのできない日本一の鉄道絶景と言っても過言ではないでしょう。この湿原はラムサール条約にも登録されている自然の楽園。タンチョウやエゾシカなどの野生動物と出合うことも珍しくありません。

今回は見どころいっぱいの根室本線を①滝川〜新得、②新得〜釧路、③釧路〜根室の三つのエリアに分けて解説しています。

 

北の国からのロケ地を行く 滝川〜新得エリア

根室本線といえば、札幌からトマムを経由して帯広・釧路を結ぶ花形特急「スーパーおおぞら」号が走る幹線というイメージが強いと思います。でも、実はトマム経由の路線は「せきしょうせん」という短絡線で、実際には札幌と旭川のほぼ中間に位置する函館本線の滝川駅が根室本線の起点になります。道東への短絡線ができたことで優等列車が走らなくなった滝川〜新得の区間は、まさにローカル線の雰囲気。空知川流域の豊かな農村風景や、広大な富良野盆地、山奥に突如現れる神秘的な湖「かなやま湖」など、車窓風景も変化に富んでいます。ドラマ「北の国から」のロケ地として知られる富良野駅や布部駅周辺は、ドラマそのままの牧歌的な雰囲気が健在で、車窓に流れる風景を見ていると、さだまさしさんのあの曲がリフレインされます(笑)。金山駅からトンネルを抜けると、突如現れる、かなやま湖はまさに絶景。秋には紅葉、夏にはラベンダーとともに撮影できる名撮影地でもあります。そんな素晴らしい区間ですが、今大きな危機を迎えています。実はこのかなやま湖畔のひがし鹿しかごえ駅から、石勝線と合流する上落合信号場までの区間は、2016年8月に発生した台風10号により壊滅的な被害を受け、既に5年ほど運休が続いています。もともと赤字区間だったことに加えて災害による休止が長引いたことで、現在鉄道を廃止してバス転換することが協議されています。先日落合駅を訪ねたら、構内は草に覆われ既に廃線の様相。厳しい状況ではありますが、いち鉄道ファンとして、歴史ある路線の存続を願ってやみません。上落合信号場で石勝線と合流しトンネルを抜けると、広大な絶景が広がります(下の写真)。ここはルート変更されているものの、「日本三大車窓」の一つに数えられる「かりかちとうげ」で、列車は北海道らしい絶景のなか右へ左へ向きを変えながら急坂を下り、新得駅に到着します。

 

紅葉の狩勝峠を駆ける(2012.8.8/トマム~新得)

 

太平洋岸の絶景にため息 新得〜釧路エリア

新得〜釧路の見どころもたくさんありますが、なんと言ってもおすすめなのは、太平洋岸ギリギリの所を走る絶景区間、厚内〜しらぬかです。下の作品は音別〜白糠で撮影したものですが、海霧に包まれた海岸線ギリギリの所を、ライトを輝かせて「スーパーおおぞら」号が通過していきます。あまりにも感動的な光景に、震えながらシャッターを切りました。写真には霧に浮かぶ三つの岬が写っていますが、それぞれの岬の下を回り込むように線路が敷かれています。一番奥の岬に列車が現れてから、シャッターチャンスまで約7分。それほど広大な風景のなかを走るシーンが見られるのは、北海道広しといえど、なかなかありません。撮影ポイントはフンペリムセ(アイヌ伝統舞踊「鯨の踊り」)発祥の地と呼ばれるスポットの上の丘。ここから超望遠レンズで海岸線を行く列車を狙いますが、向きを変えればパシクル沼と湿原とともに列車を撮影することもできます。

 

海霧を抜けて力走するスーパーおおぞら号(2017.10.13/音別~白糠)

 

北海道らしい踏切(2018.6.4/十勝清水~御影)

 

絶景が目白押し 釧路〜根室「花咲線」エリア

「花咲線」という愛称で知られる釧路〜根室の区間は、湿原と広大な牧草地帯のなかをのんびりと走ります。なかでもおすすめの絶景スポットは2カ所。まずご紹介するのは湖と湿原を堪能できる厚岸〜糸魚沢のポイント。駅弁「かきめし」で有名な厚岸駅を出ると、車窓右側に厚岸湖が広がります。そのまま列車は一番上の写真の別寒辺牛湿原へ。そして根室本線最後のハイライトが、べっ〜落石の海岸線の風景(下の写真)。そこにあるのは広大な北海道の大地と、自然な姿のままの海岸線のみ。そこに走る根室本線だけが、唯一の人工物です。狭い狭いといわれる日本ですが、まだまだこんなスケールの大きな絶景があるのです。

 

こんな絶景が日本にまだあるんです(2017.10.16/別当賀~落石)

 

乗っても良し、撮っても良しの絶景路線・根室本線。ゆっくりと時間をかけて、旅をしてみてはいかが?

 

列車でお出かけ、うれしいね(2018.6.10/茶内駅)

 

ハート模様の牛ちゃんがお出迎え(2018.6.6/浜中~姉別)

 

 

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〈過去にゆる鉄ファインダーでご紹介した写真をこちらからご覧いただけます〉

 

〈なかいせいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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