サンヨー・プロダクト・トピックス – SANYO CHEMICAL MAGAZINE /magazine Fri, 11 Oct 2024 05:12:26 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.5 /magazine/wp/wp-content/uploads/2020/09/cropped-sanyo_fav-32x32.png サンヨー・プロダクト・トピックス – SANYO CHEMICAL MAGAZINE /magazine 32 32 消泡機能はそのままに、塗料の性能をサポート /magazine/archives/8386?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25b6%2588%25e6%25b3%25a1%25e6%25a9%259f%25e8%2583%25bd%25e3%2581%25af%25e3%2581%259d%25e3%2581%25ae%25e3%2581%25be%25e3%2581%25be%25e3%2581%25ab%25e3%2580%2581%25e5%25a1%2597%25e6%2596%2599%25e3%2581%25ae%25e6%2580%25a7%25e8%2583%25bd%25e3%2582%2592%25e3%2582%25b5%25e3%2583%259d%25e3%2583%25bc%25e3%2583%2588 /magazine/archives/8386#respond Fri, 11 Oct 2024 05:08:15 +0000 /magazine/?p=8386 PDFファイル 水系建築塗料用消泡剤『SNデフォーマー 395』(サンノプコ株式会社) ほとんどの建築物の外壁は、美観の向上と建物の保護を目的に塗装が施されています。しかし、塗装時に気泡が発生すると、美観を損ね、保護機能…

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水系建築塗料用消泡剤『SNデフォーマー 395』(サンノプコ株式会社)

ほとんどの建築物の外壁は、美観の向上と建物の保護を目的に塗装が施されています。しかし、塗装時に気泡が発生すると、美観を損ね、保護機能にも悪影響を及ぼします。これを抑えるのが消泡剤です。従来の消泡機能に加え、塗膜の低汚染性を妨げず、建物の外観品質と耐久性を向上させるサンノプコ株式会社の製品を紹介します。

 

塗装時の気泡を抑え美しさや保護機能を保つ

建築塗料は基本的に、好みの色で外観を美しくする「意匠性の付与」と、コーティングによる「建物の保護」という二つの役割を担っています。

この塗装を施す際に気を付けなければならないのが、気泡の発生です。気泡が残ると美観を損ねるだけでなく、壁と塗膜の密着不良や塗膜の強度低下によって保護機能が損なわれるなどの問題が起こります。

言い換えれば、気泡をなくすことでこれらの課題はおおむね解消できます。そのため塗料では、分散剤や湿潤剤などの添加剤を起泡しにくいものにして塗料自体の泡立ちを抑えたり、消泡剤を用いてできた泡を消したりといった対策が取られています。

ただ消泡剤は、それを入れることによって、周辺をはじいて塗装面のへこみを生じさせる「ハジキ」と呼ばれる現象や、塗膜の光沢を低下させるといった問題が起こりやすくなります。そのため消泡剤には、これらの不具合を抑える性能も求められます。

 

泡膜に入り込むことで泡を破裂させる

消泡剤は、鉱物油やシリコーンオイルなど、疎水性で表面張力が低い液体が主成分です。これらが液中で分散し、泡膜に入り込んで消泡効果を発揮します。

塗料の種類には水系と溶剤系があり、水系塗料には、鉱物油系、シリコーン系、ポリエーテル系の消泡剤が、溶剤系塗料には、シリコーン系やアクリル系のポリマーなどの消泡剤が、それぞれに使われています。消泡剤の成分によってはつやを落としてしまうものもあるため、塗料の「つやあり」、「つやなし」といった種類によっても適した成分を厳選し、組成の設計を行う必要があります。

 

消泡性と低汚染性を両立させた『SNデフォーマー395』

■セルフクリーニングのメカニズム(サンノプコ社推定)

この消泡剤を、長年開発、販売しているのがサンノプコ株式会社です。サンノプコ社は1966年に、アメリカ・ノプコケミカルカンパニーと三洋化成との合弁会社として誕生した会社です。以来、ノプコケミカルカンパニーの消泡技術に三洋化成の界面活性剤技術を組み合わせ、さまざまな分野で多くの消泡剤を開発してきました。汎用的な鉱物油系消泡剤をメインに、シリコーン系や植物油系など、お客様のニーズに合わせた消泡剤を多数上市しています。

『SNデフォーマー 395』は2011年に上市された製品で、ポリエーテルを主成分としています。

消泡性を発揮するには疎水性で表面張力が低いことが前提となるため、消泡剤にはシリコーン系の物質も多く使用されます。ただ、シリコーン系は疎水性が非常に高いため、外壁の塗装に使用した場合、同じ疎水性を持つ空気中の汚れ成分が吸着しやすく、雨でも流れにくいといった課題があります。塗膜の汚れが雨で流れやすい低汚染性(セルフクリーニング性能)を損なわないためには、消泡機能を維持しながら、高すぎず適度な疎水性に保つことが必要となります。

ポリエーテルを用いて、疎水性と表面張力のバランスを調整したのが『SNデフォーマー 395』です。シリコーン系と同等の消泡性を持ちながら、塗膜の低汚染性を損なわないため、シリコーン系よりも塗膜の美しさを維持することが可能になりました。加えてシリコーン系で発生しやすい「ハジキ」の現象も低減しており、低汚染対応の塗料に添加することで、外観品質と耐久性を向上させる消泡剤として広く紹介しています。

 

 

多様化する塗料の性能に対応

建築の分野では溶剤塗料を使うことによる臭気の問題などもあり、現在ほとんどが水系塗料に置き換わっています。また建築用塗料では低汚染性に加え、揮発性有機化合物の発生を抑える低VOC、雨風や日差しに強い高耐候性、熱を遮る遮熱性といった性能が付加、向上されており、性能の多様化によって使用される樹脂も複雑なものになってきています。

そのため消泡剤も、これらの機能を阻害しないあるいは補助する性能が必要となっています。サンノプコ社ではこうした樹脂の高機能化に合わせた開発を続ける一方で、環境にも配慮した組成設計の添加剤開発も進めています。

『SNデフォーマー 395』は現在、中国、東南アジア、インドなどにも展開していますが、これらの地域でも高級志向が進み、高機能な塗料が求められています。今後もインドを中心に、海外に広く普及させていく予定です。

塗料の低汚染性を損なわないため、建物の長寿命化に貢献できる『SNデフォーマー 395』は、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献する製品です。サンノプコ社では、今後も塗料のニーズに沿った添加剤の開発で社会に貢献していきます。

 

 

■SNデフォーマー 395 の性状 ■低汚染性試験(比較)

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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より安全に、薬を効かせたい場所に届ける技術 /magazine/archives/8102?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e3%2582%2588%25e3%2582%258a%25e5%25ae%2589%25e5%2585%25a8%25e3%2581%25ab%25e3%2580%2581%25e8%2596%25ac%25e3%2582%2592%25e5%258a%25b9%25e3%2581%258b%25e3%2581%259b%25e3%2581%259f%25e3%2581%2584%25e5%25a0%25b4%25e6%2589%2580%25e3%2581%25ab%25e5%25b1%258a%25e3%2581%2591%25e3%2582%258b%25e6%258a%2580%25e8%25a1%2593 /magazine/archives/8102#respond Thu, 11 Jul 2024 06:20:34 +0000 /magazine/?p=8102 PDFファイル 経口固形医薬品用コーティング剤『ポリキッドPA-30』 経口固形医薬品用コーティング剤は、固形の飲み薬に使用されるもので、薬を包むことで、飲みやすさや保存性を向上させたり、成分を必要な場所に的確に届ける役…

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経口固形医薬品用コーティング剤『ポリキッドPA-30』

経口固形医薬品用コーティング剤は、固形の飲み薬に使用されるもので、薬を包むことで、飲みやすさや保存性を向上させたり、成分を必要な場所に的確に届ける役割などを果たしています。薬の効能を最大限に引き出すために使用される製品を紹介します。

ほとんどの固形の飲み薬に使用されているコーティング剤

私たちが病気の際に口にする経口固形医薬品、いわゆる固形の飲み薬には、大きく分けて、錠剤、顆粒、カプセルの3種があります。

通常、薬の有効成分は、直接口に含むと苦くて飲みにくいものや、光や湿気、酸素に弱いものが多いため、多くの経口固形医薬品にはコーティング剤が使用されており、苦みや臭気のマスキング、のどの通りやすさ、保存性の向上、着色などの役割を果たしています。それに加えてコーティング剤は、体内で有効成分の放出を制御するという重要な役割も担っています。

 

薬効を最大に引き出すドラッグデリバリーシステム

通常飲み薬は、食べ物と同様、胃を経由して細かくなり、有効成分が主に小腸から体内に吸収されます。この際、「必要な量を」「必要な時に」「必要な場所で」放出するよう制御することで、治療効果を向上させたり、副作用を低減したりすることができます。このような薬の制御システムをドラッグデリバリーシステム(DDS)といいます。

DDSはこうした薬効の向上だけでなく、少ない有効成分で多くの医薬品を製造できることから、生産量の限られた有効成分でも薬として多くの患者さんに届けられたり、コストを抑えることで安価に医薬品を提供できたりするというメリットもあります。

このDDSには、いくつかの制御機能があります。代表的なものとしては、一つは「徐放性」。体内で徐々に溶けていくため、服用回数を減らせるうえ、必要な濃度を必要な時間維持できるので、治療効果を向上させることができます。

また胃で溶けずに腸で溶ける機能「腸溶性」は、胃酸に弱い有効成分を効率的に小腸に届けることができるほか、胃に負担をかける有効成分が胃を荒らすといった副作用を低減することもできます。

さらに現在では、例えばがん細胞など、ターゲットとなる特定の細胞だけに有効成分を集中させ、副作用を極力抑えるような、標的指向型と呼ばれる高度なDDSも活用されています。

 

有効成分を胃液から守り、的確に小腸まで届ける『ポリキッドPA-30』

こうしたDDSの機能のなかで、「腸溶性」のコーティング剤として、広く活用されているのが三洋化成の『ポリキッドPA-30』です。胃で溶けずに小腸で溶けるのが最大の特徴で、有効成分を胃液から守ったり、胃への副作用を防いだりしながら、有効成分を小腸まで届かせる役割を果たします。

この『ポリキッドPA-30』は、三洋化成が2003年に上市した医薬品添加物です。当時、「腸溶性」のコーティング剤はドイツのメーカーだけが保有していた製品でしたが、国内製薬メーカーから国産化の要望を受け、開発しました。

『ポリキッドPA-30』は、アクリル酸エチルとメタクリル酸の二つのモノマーからなる共重合体です。このポリマーは、pHによって溶解性が変わる「pH応答性ポリマー」と呼ばれるもので、胃のpH1.2~3.5の消化液には溶けず、小腸のpH5~7の消化液に溶ける性質を持っています。そのため、医薬品の有効成分をこのポリマーでコーティングすることで、有効成分を効率的に腸まで届けることができるのです。

こうした特性を生かし、『ポリキッドPA-30』は、酸に弱い性質を持つ胃潰瘍の治療薬や、胃障害を引き起こす恐れのある解熱鎮痛剤など、さまざまな医薬品のコーティング剤に使用されています。

また医薬品添加物に一番に求められる安全性の面でも、有機溶剤を含まない水分散系の製品であることや、生物由来の原料を使用していないといった特長を持っています。さらに生産についても、製造設備や品質管理における厳しい基準を満たした体制を構築しており、厳格な管理体制のもと、信頼性の高い製品を安定供給しています。

 

世界の人々が求める医薬品を、安価かつ安定的に提供する

『ポリキッドPA-30』は、日本の医薬品添加物規格(JPE)だけでなく、アメリカやヨーロッパの薬局方(USP-NF、EP)に対応しており、世界中の国で使用されるポテンシャルを持っています。世界に向け、多くの人が求める医薬品を、安価かつ安定的に提供するという意味でも、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に貢献できる製品といえます。三洋化成では引き続き『ポリキッドPA-30』活用の場を、途上国も含めたあらゆる国々に広げていきたいと考えています。

一方で、これまでは低分子の医薬品がメインだったため、医薬品添加物もこれらを対象にしたものが主流でしたが、現在は抗体医薬のような高分子医薬品、ペプチドや核酸といった中分子医薬品など多様な医薬品の開発が進み、新たな医薬品添加物が求められています。さらにQOL向上や医療費の低減といった課題への対応も急務で、DDSへのニーズは、今後もさらに多様化し、加速していくことが予測されます。

三洋化成は『ポリキッドPA -30』だけでなく、『マクロゴール』シリーズなどの医薬品関連製品を多数保有しており、これらをベースに、新たなニーズに対応できる製品開発も進めています。今後も、これらの製品を組み合わせた最適な処方の提案や、新技術の開発を進め、世界の人々の健康とQOL向上に貢献していきます。

 

■ポリキッド PA-30 の製品情報

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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多彩な分野で活躍する、ポリウレタンフォームを支える技術 /magazine/archives/7708?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e5%25a4%259a%25e5%25bd%25a9%25e3%2581%25aa%25e5%2588%2586%25e9%2587%258e%25e3%2581%25a7%25e6%25b4%25bb%25e8%25ba%258d%25e3%2581%2599%25e3%2582%258b%25e3%2580%2581%25e3%2583%259d%25e3%2583%25aa%25e3%2582%25a6%25e3%2583%25ac%25e3%2582%25bf%25e3%2583%25b3%25e3%2583%2595%25e3%2582%25a9%25e3%2583%25bc%25e3%2583%25a0%25e3%2582%2592 /magazine/archives/7708#respond Thu, 11 Apr 2024 05:59:18 +0000 /magazine/?p=7708 PDFファイル ポリウレタンフォーム用ポリオール『サンニックス』シリーズ ポリウレタンフォームは、セルと呼ばれる気泡を有するスポンジ状の樹脂です。クッションのような柔らかいもの(軟質)から断熱ボードなど硬いもの(硬質)ま…

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ポリウレタンフォーム用ポリオール『サンニックス』シリーズ

ポリウレタンフォームは、セルと呼ばれる気泡を有するスポンジ状の樹脂です。クッションのような柔らかいもの(軟質)から断熱ボードなど硬いもの(硬質)まであり、用途によって硬さを変えたり、さまざまな機能を付加することができます。幅広い分野で利用されているポリウレタンフォームの原料となる製品を紹介します。

樹脂化反応が生み出すポリウレタンフォーム

ポリウレタンは、ポリオールなどの活性水素を有する化合物を、反応の開始物質(出発物質)とし、そこにNCOという官能基を持つ化合物ポリイソシアネートを反応させてできる樹脂の一つです。このポリウレタンを発泡させ、内部にセル(気泡)を持たせたものを、ポリウレタンフォーム、またはウレタンフォームと呼びます。

ポリオールとポリイソシアネートをそのまま反応させると、セルのないポリウレタン樹脂が出来上がります。この反応を樹脂化反応と呼びます。ポリウレタン樹脂は、靴底や合成皮革、リュックサックなどウレタン繊維で編んだような製品、陸上競技のトラックなど、防水性がありゴムのような感触のもの、家具やフローリング、ベランダなどの塗装、接着剤、シーリング材など塗膜形成能や密着性を生かした用途などに使われています。

樹脂化反応の際に、水などの起泡剤を加えると、水とポリイソシアネートが反応し、CO2が発生します。するとこのCO2が樹脂内部にセルを形成します。これを泡化反応と呼びます。ポリウレタンフォームは、この樹脂化反応と泡化反応の二つの化学的な反応を同時に起こすことで完成する多孔質の樹脂です。

 

硬さを調整するカギは分子の長さと分子をつなぐ官能基の数

ポリウレタンフォームは、軟質から硬質まで、さまざまな硬さに調整できるのが特徴です。そのため、自動車の内装材や家具、マットレスや枕といった寝具、衣類、建材など、さまざまな分野で活用されています。またそのなかで、軟質ポリウレタンフォームを取り上げてみると、一般的な出荷量では、自動車の分野が半数以上と最も多く、次いで寝具の分野で数多く利用されています。寝具でよくPRされている低反発や高反発といった機能も、一部はポリウレタンフォームの硬さを調整することで実現しています。

ポリウレタンフォームの硬さは、基本的には分子の長さと分子同士をつなぐ官能基の数で変わってきます。軟質の場合は、分子が長くそれらをつなぐ官能基数も少ないので、伸び縮みの幅が大きくなり柔らかいフォームになります。一方硬質の場合は、分子が短く、多くの官能基で分子同士をつなぐため、硬いフォームになります。こうした硬さの違いを出すための分子の長さや官能基の数は、使用する原料の分子設計や配合設計などによって実現されています。

ポリウレタンフォーム原料のなかでも、特にアルコールなどの活性水素を有する出発物質に、アルキレンオキサイド(AO) の一種であるプロピレンオキサイド(PO)やエチレンオキサイド(EO)などを高圧重合で付加して製造するポリプロピレングリコール(PPG / ポリエーテルポリオールの1種)は、出発物質の種類、官能基数に関わる活性水素の数、AOを付加する数、付加する位置、その配列など、バリエーション豊富に設計することが可能なため、広く活用されています。

三洋化成の『サンニックス』シリーズはその代表的な製品であり、国内のほとんどのポリウレタンフォームメーカーで使われ、海外でも数多く使用されています。

 

アメリカからの技術を導入し生まれた製品

三洋化成では1960年に国産第1号となるポリウレタンフォーム用のPPGを開発し、『サンニックス』の名称で上市しています。一つのきっかけは1955年にアメリカで農薬乳化剤の技術を学び、持ち帰った高圧重合の技術です。当時はあくまで乳化剤となるEOの付加重合物の製造が目的でした。

その後の1959年、三洋化成は、アメリカでウレタンフォームの原料に、PPGが使われ始めたという情報をキャッチします。くしくも日本では石油化学が拡大し始めていた頃で、将来の需要が伸びると予測した三洋化成は、日本でのポリオールのパイオニアを目指し、開発に着手しました。

同年には、ポリオールのプロセス開発と並行して、当時の資本金のほぼ倍の金額を投資し、以前アメリカで学んだ高圧重合の技術を用いたPPGの生産工場を建設します。ただし、開発は一筋縄ではいかず、研究から製造、商品化まで、あらゆる段階で何度も失敗を繰り返す苦難を乗り越え1960年、商品化に成功したのでした。

翌1961年からは、データに基づく技術営業を始めます。当初は寝具用マットレスフォームが主流でしたが、さまざまな分野に展開し、『サンニックス』シリーズは、現在では三洋化成の基盤事業の一つになっています。

 

新中期経営計画2025を推進中

現在ポリウレタンフォームは、業界を挙げてリサイクルやバイオマス原料の活用といった、環境に配慮した開発の機運が高まっています。製品そのものについても、例えば寝具での消臭機能の付加など、QOLの向上に対する新たなニーズも高まっています。

このような時代の変化に合わせて、三洋化成でも新中期経営計画2025において、環境負荷低減などの社会課題の解決やQOLの向上を基本方針に掲げ、ウレタン事業でも環境への配慮や付加価値を持たせた製品開発を進めています。その一方で、「ものづくり大改革」も推進しており、生産プロセスの改善や、原料とその調達先の見直しも含めたサプライチェーン全体での効率化、生産工程におけるCO2削減などにも取り組んでいます。

幅広い分野で活用されているポリウレタンフォームは、SDGsの観点からもさまざまな役割を担う製品です。今後も、新たな製品の開発や環境負荷低減に向けた活動にチャレンジしていきます。

 

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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金型離型性と基材密着性を両立し、ナノレベルの成型を可能に /magazine/archives/7502?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e9%2587%2591%25e5%259e%258b%25e9%259b%25a2%25e5%259e%258b%25e6%2580%25a7%25e3%2581%25a8%25e5%259f%25ba%25e6%259d%2590%25e5%25af%2586%25e7%259d%2580%25e6%2580%25a7%25e3%2582%2592%25e4%25b8%25a1%25e7%25ab%258b%25e3%2581%2597%25e3%2580%2581%25e3%2583%258a%25e3%2583%258e%25e3%2583%25ac%25e3%2583%2599%25e3%2583%25ab%25e3%2581%25ae /magazine/archives/7502#respond Fri, 19 Jan 2024 01:52:54 +0000 /magazine/?p=7502 PDFファイル インプリントリソグラフィは、物質の表面に微細なパターンを転写し、さまざまな機能を持たせる加工技術です。 単純なプロセスで、加工精度の高い微細な加工を大きな面積に施せることから、さまざまな分野で注目されてい…

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インプリントリソグラフィは、物質の表面に微細なパターンを転写し、さまざまな機能を持たせる加工技術です。
単純なプロセスで、加工精度の高い微細な加工を大きな面積に施せることから、さまざまな分野で注目されています。
この高精度な微細加工を可能にするUV硬化樹脂を紹介します。

 

活用が広がる光インプリント

インプリントリソグラフィは、フィルムなどの基材の表面に樹脂を塗布し、金型を押し当てて固めることで表面にさまざまなパターンを成型する技術です。樹脂を固める方法には、熱を加えて固める熱インプリントと光を照射して固める光インプリントがあります。

熱インプリントは樹脂を熱で溶かして基材に塗布し、金型を押し当ててから冷却するため、固まるまでに時間がかかります。一方の光インプリントは、樹脂を基材に塗布して金型を当て、光(主に紫外線)を照射することで固めます。露光は数秒と短時間で固まるうえ、熱インプリントのように高熱をかける必要がないため、使用するエネルギーが少ないメリットもあります。また、熱インプリントに用いられる熱可塑性樹脂は粘度が高く、金型の凹凸の隅々まで入りこむことは困難ですが、光インプリントに使用するUV硬化樹脂は粘度が低く、より微細なパターンの成型が可能です。

現在こうした微細加工の技術としては、感光性の樹脂などを塗布した表面を、パターン状に露光、現像して固めるフォトリソグラフィが代表的です。一方、光インプリントは、現像工程が不要で金型を押し当てて光を照射するだけの単純なプロセスのため、簡易な装置で加工でき、大面積加工も容易で、工程短縮と低コスト化につながります。また、現像工程が不要なため、余分な樹脂や現像液などの廃棄がなく、環境性能にも優れています。さらに、フォトリソグラフィでは困難だった曲面などの非平面へのパターン成型や、高アスペクト比構造、3次元構造などのパターン成型も可能です。これらのメリットから、微細加工が必要な分野では光インプリントの需要が拡大しています。

 

ディスプレイの性能を支えるUV硬化樹脂

光インプリントが最も多く使われているのが光学フィルムです。

光学フィルムは、テレビの液晶画面やスマートフォンのタッチパネルなど、さまざまなディスプレイに使われている材料です。フィルム表面に、ナノレベルの微細な加工を施すことで、光の通過や反射、吸収といったさまざまな機能を持たせています。ディスプレイは、これらの機能を持った複数の光学フィルムを重ね合わせることで、画像や映像をより美しく、鮮明に見せています。

光を照射することで固まるUV硬化樹脂は、この光学フィルムの微細なパターンを加工するためには欠かせない材料になっています。

 

金型から離れやすく、細かい傷も回復する『サンラッド』

三洋化成では2000年代からインプリント用UV硬化樹脂の開発に着手し、需要拡大に伴い、グレードを取り揃えてきました。こうした開発で蓄積した知見をもとに、2010年頃に上市した製品が『サンラッド』シリーズです。

インプリント用のUV硬化樹脂に求められる一番の機能は、ナノレベルで割れや欠けのない細かいパターンを正確に転写できることです。それには樹脂が基材に密着する「密着性」と、金型から離れる「離型性」とのバランスが重要になります。

『サンラッド』の特徴の一つがこの離型性の良さです。UV硬化樹脂には、金型から樹脂を離れやすくするための離型剤が含まれています。離型剤は、通常であれば金型側だけでなく、基材側にも作用するため、離型性を強くすると樹脂が基材から剥がれてしまう事態も起こり得ます。一方『サンラッド』に含まれる離型剤は、特異的に金型側にのみ働くよう設計されているため、金型から離れやすいにもかかわらず、基材からは剥がれにくくなっています。そのため、高価な金型にはダメージをほとんど与えず、多彩なパターンを、割れや欠けなどがなく正確に転写できる特性を持っています。

また、傷回復性(耐擦傷性)にも優れているため、成型したパターンに傷がついたり倒れたりしても、数秒で元通りになります。これにより高い歩留まりを可能にし、信頼性も向上します。さらに近年は、LED光源にも対応するなど、省エネルギーにもより貢献しています。

 

豊富な技術と知見で、光インプリントの進化をけん引する

こうした製品特性もさることながら、三洋化成はお客様のニーズに合わせてカスタマイズをすることで、他社製品との差別化を図っています。電子材料ではどうしても細かい調整が必要になるうえ、製品の進化によって求められる性能も変わってきます。

現在は、さらなる環境負荷低減に向け、樹脂の使用量も減らすことができる、インクジェットに適したUV硬化樹脂『ネオジェット』も開発しています。

無溶剤で、使用する樹脂のロスが少なく、省エネルギープロセスで加工できる環境面に優れた光インプリントは、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標12「つくる責任 つかう責任」などに貢献しており、今後ますます需要が拡大すると考えられます。三洋化成では、新たなニーズに対応できるようさらなる高性能化を図りつつ、光インプリントの新しい用途開拓も視野に、今後も開発を進めていきます。

 

 

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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金属の腐食を防ぐ、ハロゲン(塩素)フリーの抗菌剤 /magazine/archives/7378?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e9%2587%2591%25e5%25b1%259e%25e3%2581%25ae%25e8%2585%2590%25e9%25a3%259f%25e3%2582%2592%25e9%2598%25b2%25e3%2581%2590%25e3%2580%2581%25e3%2583%258f%25e3%2583%25ad%25e3%2582%25b2%25e3%2583%25b3%25ef%25bc%2588%25e5%25a1%25a9%25e7%25b4%25a0%25ef%25bc%2589%25e3%2583%2595%25e3%2583%25aa%25e3%2583%25bc%25e3%2581%25ae%25e6%258a%2597 /magazine/archives/7378#respond Tue, 14 Nov 2023 07:23:15 +0000 /magazine/?p=7378 PDFファイル 界面活性剤の一つであるカチオン界面活性剤は、抗菌剤としても広く活用されています。 ただし種類によっては金属を腐食させる可能性があるため、使用には注意が必要です。 この金属腐食のリスクを低減しつつ、ハロゲン…

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界面活性剤の一つであるカチオン界面活性剤は、抗菌剤としても広く活用されています。
ただし種類によっては金属を腐食させる可能性があるため、使用には注意が必要です。
この金属腐食のリスクを低減しつつ、ハロゲン(塩素)フリーで焼却してもダイオキシンを発生しない界面活性剤型抗菌剤を紹介します。

 

抗菌剤としても利用できる界面活性剤

シャンプーや洗剤などでなじみのある界面活性剤は、物質の境界面で働いて、性質を変化させる物質の総称です。その特性を生かして、洗剤はもとより化粧品や塗料、食品など幅広い用途に活用されています。

界面活性剤は、水になじみやすい親水基と、油などになじみやすい疎水基から構成されており、水に溶けた際の電荷によって、アニオン、カチオン、両性、ノニオンの4種類に分類されます。

なかでも親水基がプラスに帯電するカチオン界面活性剤は、マイナスに帯電した物質の表面に付着して滑りを良くしたり帯電を防止したりする作用があり、柔軟剤やヘアリンスなどに使われています。また、菌やカビなどの細胞もマイナスに帯電しているため、カチオン界面活性剤が付着しやすく、抗菌剤としても利用することができます。

 

即効性のある抗菌作用を持つ、カチオン界面活性剤型抗菌剤

抗菌剤は一般的に、有機系と無機系に分けられます。カチオン界面活性剤型の抗菌剤は有機系抗菌剤に分類されます。

有機系抗菌剤の一番のメリットは即効性が高いところです。一方で、刺激性が高く、物質の表面にとどまりづらく持続性が低いというデメリットがあります。この刺激性が高いという特性から、有機系抗菌剤は人に触れるものに積極的に使用されることは少なく、その多くが工業用途で使用されています。

カチオン界面活性剤型抗菌剤の抗菌作用には、いまだ解明されていないところも多々ありますが、マイナスに帯電しやすい菌やカビの細胞膜に吸着して表面を破壊したり、細胞内部に入り込んで生育に必要な機能を阻害したりすることで、抗菌作用を発揮すると考えられています。

ただ、多くのカチオン界面活性剤型抗菌剤は金属腐食性が高く、繊維用抗菌剤として使用した場合の繊維編機の針、木材用防腐剤として使用した際の木材に打ち込まれた釘など、金属に接触する可能性のあるものには使いづらいという難点がありました。

 

課題となっていた金属腐食性を低減した『オスモリン DA -50』

カチオン界面活性剤の優れた抗菌作用はそのままに、金属腐食性を低減したのが三洋化成の『オスモリン DA -50』です。開発のきっかけは、清潔・快適志向の高まりを背景に、抗菌繊維の需要が高まったこと。それまでの繊維用抗菌剤には、繊維に抗菌剤を混ぜ込んで抗菌処理を施した際、カビなどの真菌に対して十分な抗菌効果がない、金属腐食性があるといった問題がありました。そのため、真菌を含むさまざまな菌に優れた抗菌効果を示し、かつ、編機の針などを錆びさせない抗菌剤が求められていました。三洋化成では、1990年代半ばに開発をスタートさせ、1998年から販売しています。

『オスモリン DA -50』は、カチオン界面活性剤型抗菌剤のなかでも、第4級アンモニウム塩系に分類される抗菌剤です。第4級アンモニウム塩系の抗菌剤では、塩化物イオンを含む塩化ベンザルコニウムや塩化ジデシルジメチルアンモニウムなどがメジャーな成分になりますが、一般的に塩化物イオンなどのハロゲン系イオンが存在すると、金属を腐食させる傾向があります。ちなみに、塩化ジデシルジメチルアンモニウムは、その1%水溶液に一般的な鋼材を浸した場合、約1時間で錆びを確認できるぐらいの腐食性があります。

この塩化物イオンを、酸化力の弱いアジペート(アジピン酸塩)に置き換えたものが『オスモリン DA -50』です。酸化力を低減させることで、抗菌性を保ったまま金属腐食性を低減させ、そのうえ防錆性も高めています。

抗菌作用としては、大腸菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌や青カビ・黒カビなどの真菌など、多くの菌に効果があり、幅広い用途での活用が可能です。さらにハロゲン(塩素)を使用していないため、焼却してもダイオキシンが発生しないというメリットもあります。

 

幅広い分野で活躍が期待される抗菌剤

 

現在は、編機の針などの腐食を防ぐ繊維用の抗菌剤をはじめ、釘やネジなどを錆びさせないための建築用木材の防腐剤に活用されているほか、食品工場、飲食店やホテルの厨房、病院など、抗菌性が求められる場所での除菌洗浄剤や、工場などの金属洗浄浴の防腐剤としても利用が進んでいます。また、ミネラル分の多い硬水中で抗菌性を発揮できるのも大きなメリットです。例えばクーリングタワーの冷却水などは、無機塩類が析出した水あか(スケール)のできやすい環境下で抗菌性が求められ、こうした場面での活躍も期待できます。

金属腐食性の低減により活用の範囲が広がっている『オスモリン DA -50』は、抗菌剤の機能としてはSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に、ハロゲンフリーの機能としては目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献する製品です。今後は、即効性があり、幅広い菌・カビに対して抗菌・防カビ効果を発揮し、ハロゲンフリーで金属腐食性が低いといった『オスモリン DA -50』の優れた特長をさらにPRし、より多くのお客様にお使いいただけるよう販売活動を進めていく予定です。

また、一般的に有機系抗菌剤は、無機系抗菌剤と比べて耐熱性や持続性に劣るため、研究開発では、カチオン界面活性剤型抗菌剤に共通するこれらの弱点を克服すべく、高温にさらされた後でも抗菌性を損なわないもの、対象物にとどまり、より長く抗菌性を発揮するものなど、さらに性能を高める製品の構想も進めています。

三洋化成ではこれからも、コロナ禍で抗菌意識の高まった世界へ向け、有機系抗菌剤の長所である即効性を生かしつつ、さらに高度な製品を開発し、提供していきます。

 

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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光造形の分野で、各種LED光源に対応し、樹脂本来の透明性を保つなど高性能化を支える /magazine/archives/7235?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e5%2585%2589%25e9%2580%25a0%25e5%25bd%25a2%25e3%2581%25ae%25e5%2588%2586%25e9%2587%258e%25e3%2581%25a7%25e3%2580%2581%25e5%2590%2584%25e7%25a8%25aeled%25e5%2585%2589%25e6%25ba%2590%25e3%2581%25ab%25e5%25af%25be%25e5%25bf%259c%25e3%2581%2597%25e3%2580%2581%25e6%25a8%25b9%25e8%2584%2582%25e6%259c%25ac%25e6%259d%25a5 /magazine/archives/7235#respond Thu, 14 Sep 2023 01:11:47 +0000 /magazine/?p=7235 PDFファイル 光造形の技術は、短時間で精細かつ表面の滑らかな造形物が得られることから幅広い分野で使用され、材料となる光硬化性樹脂も、より高性能なものが求められています。 この高性能化を支える、サンアプロの光カチオン重合…

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光造形の技術は、短時間で精細かつ表面の滑らかな造形物が得られることから幅広い分野で使用され、材料となる光硬化性樹脂も、より高性能なものが求められています。
この高性能化を支える、サンアプロの光カチオン重合開始剤を紹介します。

 

3Dプリンターで活用される光造形法

3Dプリンターを用いる3次元立体モデルの製作方法の一つに、光を照射して固める光造形法があります。

光造形法は、光を照射すると固まる液状の光硬化性樹脂に、光を照射して一層ずつ硬化させて積み上げる造形方法です。3D – CADのデータをもとに、レーザー光などを制御しながら照射することで、精度の高いプラスチックの3次元立体モデルを製作します。光造形法は、造形スピードが速く仕上がりが滑らかなうえ、透明な造作物や、微小なものから大型のものまで製作できるなど、多くのメリットがあります。ただ、材料の保管や造形後の後処理などに一定の手間がかかるため、主に産業用途での活用が進んできました。

現在は、電化製品をはじめ、自動車や航空機などの部品の試作に使用されるほか、金型のもととなるモデルの製作や、小ロットやオーダーメイド品の多い医療用部品の製作などにも使われており、微細なマイクロレベルのモデルを製作する研究も進んでいます。

 

光に反応して酸を発生させる、光カチオン重合開始剤

光造形法に使用される材料は、光を照射することで重合反応が起こり、物質が固まる光硬化性樹脂です。ラジカルで重合するアクリル系のものと、カチオン(酸)で重合するエポキシ系の2つのタイプの樹脂があります。

一般的に、アクリル系は固まるスピードは速いがもろいという特性があり、エポキシ系は固まるスピードは遅いが高強度という特徴があります。身近なところでは、DIYに使う瞬間接着剤とエポキシ系接着剤の違いのようなイメージです。

それぞれの光硬化性樹脂には、光を吸収することによって分解し、重合に必要となるラジカルや酸を発生させる光重合開始剤が含まれています。なかでも、エポキシ系のカチオン重合に必要な酸を発生するものを、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)と呼んでいます。

 

LED光源に対応した『VC – 1』『ES – 1』

光カチオン重合開始剤には、樹脂を速く固める硬化性が求められます。硬化性は、発生する酸の量が多いほど、また、その酸の強度が高いほど向上するため、照射される波長の光をできるだけ吸収し、より多くの強い酸を発生させるような構造に設計する必要があります。

これまで光重合に使われる光源は、波長が355ナノメートルといった高エネルギー帯の紫外線領域でのレーザー光源が一般的でしたが、近年、省エネ効果の高いLEDが普及し、光重合用にも波長が395ナノメートルや405ナノメートルなどの可視光線領域に近い近紫外LED光源が使われるようになってきました。

サンアプロではこれまでも、この波長に対応する『CPI – 400』シリーズを出していましたが、その性能をさらに高めたのが今回開発した『VC – 1』と『ES – 1』シリーズです。

『CPI – 400』シリーズは、硬化性に優れる非アンチモン系の光カチオン重合開始剤ですが、400ナノメートル以上の可視光線領域の光もわずかながら吸収するため、得られた樹脂が無色ではなく、若干黄色くなる特性があります。色味が問われないジャンルでは支障はありませんが、透明性が求められる光学用途などでは使用が制限されてしまうため、この波長に対応し、かつ樹脂本来の透明性を保つ製品が求められていました。『VC – 1』は、紫外線領域の吸収を大きくし、可視光線領域(400ナノメートル以上)の吸収を小さくすることで光カチオン重合開始剤由来の着色を最小限にして、特に樹脂の透明性を保つことを可能にしています。

一方の『ES – 1』は、各波長領域における光の吸収量は従来の『CPI – 400』シリーズと同等でありながら、光分解効率を高めることで、同じ光の吸収量でより多くの酸を発生するよう設計しており、硬化性に優れています。また、これまで非アンチモン系は溶解性が低い傾向にありましたが、『ES – 1』は溶解性が高いため、さまざまな組成系への配合を可能にしました。両製品とも、すでに少量での販売をスタートしており、いずれも量産化に向けて準備が進んでいます。

 

多彩な製品ラインアップと新たな技術開発で社会に貢献

サンアプロでは2000年頃から、光造形技術の進化にあわせ、さまざまな光カチオン重合開始剤を開発してきました。そのため、各種光の波長に対応できるラインアップをそろえており、光造形のあらゆる用途、使用方法に合った製品を提供することができます。

開発した『VC – 1』『ES – 1』シリーズは、省エネ効果の高いLEDでも硬化できるため、光造形の際に使用する消費電力が削減できます。省エネはCO2の削減につながるので、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献できる技術でもあります。また、光カチオン重合開始剤の進化は当然、3Dプリンターの普及につながるため、技術革新を促す意味でも目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献しています。

現在は、紫外線〜可視光線までの光に対応した製品ラインアップが中心ですが、近赤外線などに対応できる製品も開発中です。また光カチオン重合開始剤は、半導体製造の分野などでは光酸発生剤としても活用されており、さらなる使用分野の拡大も期待されています。

サンアプロではこれからも、多彩な製品ラインアップと、新たな技術開発で、社会に貢献していきます。

 

 

当社製品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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水溶性工作油の潤滑性や低泡性をさらに高め、より高度な金属加工を可能に /magazine/archives/7009?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25b0%25b4%25e6%25ba%25b6%25e6%2580%25a7%25e5%25b7%25a5%25e4%25bd%259c%25e6%25b2%25b9%25e3%2581%25ae%25e6%25bd%25a4%25e6%25bb%2591%25e6%2580%25a7%25e3%2582%2584%25e4%25bd%258e%25e6%25b3%25a1%25e6%2580%25a7%25e3%2582%2592%25e3%2581%2595%25e3%2582%2589%25e3%2581%25ab%25e9%25ab%2598%25e3%2582%2581%25e3%2580%2581%25e3%2582%2588 /magazine/archives/7009#respond Wed, 12 Jul 2023 06:46:23 +0000 /magazine/?p=7009 PDFファイル 金属製品の加工には、工作油剤は欠かせない存在です。なかでも水溶性工作油は、作業性や環境面に優れることから、性能面でのさらなる向上が求められていました。 今回は独自の技術で、高度な金属加工を可能にした水溶性…

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金属製品の加工には、工作油剤は欠かせない存在です。なかでも水溶性工作油は、作業性や環境面に優れることから、性能面でのさらなる向上が求められていました。
今回は独自の技術で、高度な金属加工を可能にした水溶性工作油用合成基剤を紹介します。

 

金属加工時の摩擦を低減する工作油剤

自動車や機械、建築資材などさまざまな金属製品は、切削、プレス、圧延など何らかの金属加工が行われています。これらの加工により発生する摩擦は発熱や損傷を引き起こし、そのままでは製品不良の原因になってしまいます。そのため金属の加工時には、ほとんどのケースで摩擦を低減するための工作油剤が使われています。発熱や摩擦面の損傷を抑えることで、製品不良率の低減はもちろん工具寿命の延命も可能になります。

この工作油剤には、希釈せずに使用する「不水溶性」と水で希釈して使用する「水溶性」のものがあります。

一般的に不水溶性工作油は鉱物油が主成分で、摩擦を低減させる極圧剤などの各種添加剤を溶解させられることから潤滑性に優れています。短所としては、引火の可能性や、作業時に発生するミストによる作業者への悪影響および工作機械や床が汚れてしまうといったことが挙げられます。

一方、水溶性工作油は水を利用するため冷却性に優れるのが特長です。洗浄もしやすく塗料などの後工程にも有利なことから、作業環境の改善や環境負荷低減といった観点で、需要が拡大してきました。ただ、こちらは、不水溶性工作油に比べて潤滑性が劣るほか、金属の錆や希釈する水の腐敗対策が必要といった短所があるため、現在はそれぞれの潤滑油が、その特性を生かせる分野で使い分けられています。

 

金属加工の進化で、性能の向上が求められる水溶性工作油

この水溶性工作油の主成分となるのが、水溶性工作油用合成基剤です。この基剤が潤滑性や水溶性といった基本性能を大きく左右します。

水溶性工作油には大きく分けて、エマルションタイプ、ソリュブルタイプ、ソリューションタイプの3種類があります。

エマルションタイプは、鉱物油や各種添加剤などの油性成分を界面活性剤で水中に分散させることで、潤滑性を向上させています。ただし、鉱物油が入っているため、水と混ぜると乳白色になり加工点が見えづらいことや、界面活性剤を用いているため加工時に泡が立ちやすいというデメリットもあります。

水で希釈しても透明なソリューションタイプは、加工点が見え、洗浄時に残渣が残りにくいことが特長で、鉱物油を使わないため、環境面や作業者の健康面でも配慮されています。しかし、一般的に不水溶性工作油に用いられる各種添加剤が溶けないため、潤滑性は劣ってしまいます。

ちなみにソリュブルタイプは両者の中間の性能を持っています。

一長一短はあるものの、冷却性に優れる水溶性工作油は高速加工に適しており、金属加工の進化に伴い、精密加工や加工が難しい材料にも対応できる製品が求められていました。

 

高い潤滑性と低泡性を両立した『ユーティリオール GA-15P』

三洋化成は1960年代から水溶性工作油用合成基剤の開発に乗り出し、この分野で技術を培ってきました。その技術を用いて2021 年に上市された製品が『ユーティリオール GA-15P』です。

『ユーティリオール GA-15P』は、ソリューションタイプでありながら、不水溶性工作油やエマルションタイプでも加工の難しかった、幅広い金属種や加工方法に対応できるポリアルキレングリコール(PAG)系の工作油用合成基剤です。これまで、水溶性工作油では加工が難しかった、展延性が高いアルミなどの軽金属の加工にも使用されています。

主成分となるPAGは、親油性の酸化プロピレンや、親水性の酸化エチレンなどを原料にして作られるAOA製品群の1種です。三洋化成はAOA技術を1960年以来積み上げ、さまざまな製品を生み出してきました。

今回もこの独自のAOA技術を用い、水溶性工作油の課題であり、従来はトレードオフの関係にあった高い潤滑性と低泡性の両立に成功しました。そのほかにも、曇点が高く、水で希釈した際の透明性が高いので、比較的高温域での加工も可能になったこと、また可燃性が低く、消防法の危険物に該当しないため保管・取り扱いも容易になったことなど、多くのメリットを持っています。

またPAGは潤滑性に優れるほか、界面活性能として乳化や可溶化、浸透などの機能を付与することもできるので、金属加工油の添加剤として使うことも可能です。その特長を生かし、金属加工以外でも幅広く潤滑油としての用途で使用されています。

 

多くの分野に広がる可能性を秘めた製品

このように『ユーティリオール GA-15P』は、これまで難しかったアルミなどの軽金属加工に使用できるほか、環境負荷の低減、作業環境の向上にも寄与する、完成度の高い製品です。SDGsでは目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標12「つくる責任 つかう責任」などに貢献しています。

さらにPAGは、さまざまに機能を持たせることができるため、金属加工油以外にも油圧機の作動液など、他分野への応用も期待されています。環境・安全の観点で、油系に変わるものとして、多くの分野に広がる可能性のある『ユーティリオール GA-15P』。三洋化成では、金属加工の分野はもちろん、その活用分野を広げることで、さらに社会に貢献していきます。

 

 

 

 

当社製品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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泡立ちが良く、低刺激で肌に優しい界面活性剤 /magazine/archives/6880?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25b3%25a1%25e7%25ab%258b%25e3%2581%25a1%25e3%2581%258c%25e8%2589%25af%25e3%2581%258f%25e3%2580%2581%25e4%25bd%258e%25e5%2588%25ba%25e6%25bf%2580%25e3%2581%25a7%25e8%2582%258c%25e3%2581%25ab%25e5%2584%25aa%25e3%2581%2597%25e3%2581%2584%25e7%2595%258c%25e9%259d%25a2%25e6%25b4%25bb%25e6%2580%25a7%25e5%2589%25a4 /magazine/archives/6880#respond Mon, 05 Jun 2023 04:50:13 +0000 /magazine/?p=6880 PDFファイル 髪や肌に直接触れるシャンプーやボディーソープは、 汚れを落とす以外にも、泡立ちや洗い心地など、多くの機能が求められます。 さまざまな機能を高めながら、SDGsにも大きく貢献する界面活性剤を紹介します。 &…

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髪や肌に直接触れるシャンプーやボディーソープは、
汚れを落とす以外にも、泡立ちや洗い心地など、多くの機能が求められます。
さまざまな機能を高めながら、SDGsにも大きく貢献する界面活性剤を紹介します。

 

機能のバランスが重要となるシャンプー・ボディーソープ

シャンプーやボディーソープは、食器用洗剤や洗濯用洗剤とは違い、髪や肌に直接使用します。そのため、皮脂汚れを落とす機能に加え、刺激の低さや洗い心地の良さなど、多くの機能が求められます。一方で、髪や肌は皮脂で保湿力を保っているため、洗いすぎると肌トラブルの原因になりかねません。シャンプーやボディーソープでは、洗いすぎずキレイにするという、それぞれの機能の全体的なバランスが重要になります。

日本では毎日、入浴する習慣があり、洗浄性よりも低刺激性や泡立ちの良さ、指通りの感触などのニーズが高い傾向があります。また、欧米を中心に、その製品を使うことで環境にも貢献できる「クリーンビューティ」という考え方も広まっており、サステナブルな原料を使ったり、生分解性を高めたりという動きもあります。こうしたニーズに応えるため、主成分である界面活性剤はさまざまな観点から開発が進められています。

 

性能によって多様な種類がある界面活性剤

この界面活性剤は、分子内に水になじむ親水基と、油になじむ親油基(疎水基)を併せ持っています。洗浄の際は、親油基が髪や肌の汚れを取り囲み、そこに水を流すことで水と一緒に汚れが洗い流される仕組みです。

種類は、大きく分けて、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の4つがあります。親水基がマイナスに帯電しているものがアニオン性で、プラスに帯電しているものがカチオン性。両性は、水のpHによってプラスにもマイナスにもなるもので、どちらにも帯電しないものが非イオン性です。

一般的なシャンプーやボディーソープには、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤が併用されています。アニオン性界面活性剤は泡立ちに優れていますが、そこに両性界面活性剤を加えることで、使用の際に手に取りやすい粘度が出せ、かつ刺激もマイルドになるため、両者が使われています。

またアニオン性界面活性剤のなかにも、さっぱりした洗い上がりのものや、しっとり肌になじむものなど多様な種類があり、各メーカーはそれらを組み合わせることで、バランスを保ちながら製品の特長を出しています。

ちなみにカチオン性界面活性剤はプラスに帯電しており、マイナスの静電気を帯びた髪に付着しやすいためコンディショナーなどに、非イオン性界面活性剤はクリームや乳液の乳化剤やクレンジング用の洗浄剤などに使われています。

 

30年以上の歴史を持つ『ビューライト』シリーズ

三洋化成の『ビューライト』シリーズは、シャンプーやボディーソープなどに使われているアニオン性界面活性剤です。1990年に初めて開発・上市された製品で、30年以上の歴史を持つロングランのシリーズとなっています。

なかでも『ビューライト LCA』シリーズは、原料に天然由来のアルコールを使用しており、肌に優しい低刺激が特徴の製品です。基本となる『LCA-30D』に加え、独自の技術でより目的成分の純度を高めた『LCA-25N』や、防腐剤を一切使用しない『LCA-25F』などがあります。ほかにも、低刺激でありながら、泡が立ちにくい硬水でも高い起泡性を発揮し、生分解性も高い『ビューライトSHAA』など、さまざまな要望に対応できるラインアップをそろえています。

また、アニオン性界面活性剤に加える両性界面活性剤では、少量の添加で粘度を高め、フケの原因菌を抑制する『ピウセリアAMC』、コンディショナーなどに使用されるカチオン性界面活性剤では、溶剤に高級アルコールを使用することで、製造時の効率を格段に高めた『エコノールTM-22』など、シャンプーやボディーソープに有効な、高付加値製品を幅広くラインアップしています。

 

QOLを高めながら環境や社会にも優しい製品を目指して

こうした性能が評価され、『ビューライト』シリーズは現在、海外でも需要が伸びています。三洋化成では、日本のみで行っている生産を、2024年にタイの関係会社サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場(タイ・ラヨーン県)にも広げる予定。生産能力を倍増し、広く海外にも供給できる体制を整えています。

一方で、原料となるパーム油では、適切かつ持続可能な供給体制を整えたアブラヤシ農場やプラントからパーム油由来の原料を調達、使用する「RSPO認証」を取得し、これまで以上に環境やフェアトレードへの貢献度を高めています。

SDGsでは、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」をはじめ、目標8や12といった産業における項目や、目標13、14、15など環境保全にかかわる項目など、幅広いテーマに貢献しています。これからも、多くの人のQOLの向上と、環境や社会にも優しい製品として、使命感を持って開発を続けていきます。

 

 

 

 

当社製品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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洗浄力と生分解性を向上し、衣類用洗剤の環境負荷を低減 /magazine/archives/6140?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%25b4%2597%25e6%25b5%2584%25e5%258a%259b%25e3%2581%25a8%25e7%2594%259f%25e5%2588%2586%25e8%25a7%25a3%25e6%2580%25a7%25e3%2582%2592%25e5%2590%2591%25e4%25b8%258a%25e3%2581%2597%25e3%2580%2581%25e8%25a1%25a3%25e9%25a1%259e%25e7%2594%25a8%25e6%25b4%2597%25e5%2589%25a4%25e3%2581%25ae%25e7%2592%25b0%25e5%25a2%2583%25e8%25b2%25a0 /magazine/archives/6140#respond Mon, 23 Jan 2023 04:46:21 +0000 /magazine/?p=6140 PDFファイル 環境への関心が高まるなか、衣料用洗剤にも環境負荷の低減が求められています。 今回は、生分解しやすい機能を備えながら、少ない使用量でも高い洗浄力を発揮できる、 コンパクト化にも対応した界面活性剤を紹介します…

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環境への関心が高まるなか、衣料用洗剤にも環境負荷の低減が求められています。
今回は、生分解しやすい機能を備えながら、少ない使用量でも高い洗浄力を発揮できる、
コンパクト化にも対応した界面活性剤を紹介します。

基本の洗浄性能に加え環境性能でも開発が進む衣料用洗剤

普段の生活で毎日のように使用する衣料用洗剤は、1960年代から環境に配慮した製品開発が行われてきました。そして近年、環境意識の高まりを背景にそのニーズはさらに高まっています。洗剤メーカー各社は、洗浄力などの基本性能に加え、自然に還りやすい生分解性や、水の使用量を抑えるための水溶性、消費者の利便性に加え容器の省資源化や輸送エネルギー削減などに寄与する高濃度・コンパクト化といった部分でも開発を進めています。

一方最近では、洗濯に関しても節水化が進んでおり、粉末よりも水に溶けやすい液体洗剤のニーズが高まっています。液体洗剤の使用量は、2011年に粉末洗剤の使用量を超えてから増え続け、直近のデータでは販売量のおよそ8割を液体洗剤が占めています。

 

界面活性剤は汚れを落とすための主成分

衣料用洗剤には、主成分の洗剤基剤のほか、洗浄効果を高める補助剤としてビルダー、酵素、添加剤などが配合されています。

洗剤基剤は、汚れを落とすための成分で、非イオン界面活性剤やアニオン界面活性剤などが使用されます。その他の補助剤は、ビルダーが界面活性剤の働きを妨げる成分の捕捉や油脂の洗浄力向上、汚れの再付着防止など、酵素はタンパク質や油脂の分解、添加剤は衣類の白さを保ったり汚れを漂白したりする役割を果たします。

洗剤基剤のなかでも非イオン界面活性剤は、一般的に少量で優れた洗浄力を示し、その洗浄力が水の硬度の影響を受けにくい特長があります。さらに低起泡性で、すすぎ性にも優れることから、主に液体洗剤の洗剤基剤として用いられています。一方のアニオン界面活性剤は、泥汚れに対する洗浄力が高く再付着の防止に優れていますが、洗浄力が水の硬度に影響されやすい弱点があり、液体洗剤には比較的この影響が少ないものが使用されます。衣料用洗剤は基本的には両者を併用していますが、最近は肌への刺激が少ないことから非イオン界面活性剤を単独で使用する商品も増えています。

界面活性剤は、汚れになじみやすい疎水基と水になじみやすい親水基をもち、疎水基で汚れをキャッチし、親水基で水に溶かし出すことで衣類をきれいにします。親水基と疎水基の設計が衣料用洗剤の性能を左右しますが、このバランスは難しく、洗浄性や水溶性、生分解性といった性能を同時に高めるのは非常に困難でした。

 

独自の技術で全ての性能を向上させた『ミセランドSCD – 100』

三洋化成では1960年代から衣料用洗剤向けの界面活性剤の販売を開始し、これまでもさまざまな製品を開発してきました。液体洗剤が普及しはじめた1990年代後半からは、液体洗剤向けの界面活性剤を中心に開発を続けています。

『ミセランドSCD – 100』(以下『ミセランド』)は2022年8月に発表した、液体洗剤用の非イオン界面活性剤です。これまでは同時に性能を高めるのが困難だった、洗浄性、生分解性、水溶性の全てに優れているという特長を持っています。

三洋化成独自の技術で、疎水基と親水基両方の構造をコントロールし、界面活性剤の量を減らしても、これまでの洗剤と同等の洗浄力を実現しています。従来の衣料用洗剤は、一般タイプでも高濃度タイプでも界面活性剤を使う量は同じでしたが、『ミセランド』は洗浄性能を維持しながら界面活性剤そのものの量を減らすことができます。さらに生分解性を持たせているところも大きな特徴です。より環境に優しいことから、発表後の反響は大きく、現在、製品化に向けた準備が進んでいます。

 

 

SDGsの多くの目標に貢献

環境性能に優れた『ミセランド』ですが、将来的にはさらに環境性能を高めるため、現在使用している合成原料をバイオマス原料へ置き換える研究も始まっています。また『ミセランド』が広まれば、間違いなく衣料用洗剤の環境負荷低減につながるため、日本国内だけでなく、環境意識の高い欧米や、環境改善が必要な新興国や途上国への普及も視野にPRを進めています。高い洗浄性による界面活性剤の使用量低減はSDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」や目標12「つくる責任、つかう責任」に、生分解性の向上は目標14「海の豊かさを守ろう」に、高い水溶性による高濃度化は、輸送時などのCO2削減にもつながるため目標13「気候変動に具体的な対策を」への貢献が期待できます。

独自の技術で自信を持って社会に提供する『ミセランド』。三洋化成では今後も、衣料用洗剤分野における環境意識の啓発も含め、使命感を持ちながら、さらなる開発や普及活動を進めていきます。

 

 

当社製品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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慢性腎臓病患者さんの命を守る人工腎臓用の接着剤 /magazine/archives/6027?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%2585%25a2%25e6%2580%25a7%25e8%2585%258e%25e8%2587%2593%25e7%2597%2585%25e6%2582%25a3%25e8%2580%2585%25e3%2581%2595%25e3%2582%2593%25e3%2581%25ae%25e5%2591%25bd%25e3%2582%2592%25e5%25ae%2588%25e3%2582%258b%25e4%25ba%25ba%25e5%25b7%25a5%25e8%2585%258e%25e8%2587%2593%25e7%2594%25a8%25e3%2581%25ae%25e6%258e%25a5%25e7%259d%2580 /magazine/archives/6027#respond Mon, 28 Nov 2022 06:51:06 +0000 /magazine/?p=6027 PDFファイル 毒素を尿として排出するなど、生命の維持に重要な役割を果たす腎臓。 そのため腎機能が低下すると、血液を腎臓の代わりに浄化する措置が必要になります。 そのフィルターとなる人工腎臓の加工に使用される接着剤を紹介…

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毒素を尿として排出するなど、生命の維持に重要な役割を果たす腎臓。
そのため腎機能が低下すると、血液を腎臓の代わりに浄化する措置が必要になります。
そのフィルターとなる人工腎臓の加工に使用される接着剤を紹介します。

生命維持に欠かせない多くの機能を持つ腎臓

腎臓は、毒素を尿として排出する、血液に関わるホルモンをつくる、カルシウムの吸収を促すビタミンDをつくるといった、生命維持に欠かせない多くの役割を担っています。

腎機能が低下すると、尿の濃縮力が低下して多尿となり、夜間頻尿などの症状が起こります。これがさらに悪化すると、身体に余分な水や毒素がたまり、生命の維持ができなくなる危険が出てきます。初期は薬による対処療法で現状維持を図りますが、腎機能はいったん悪化すると回復することがないため、悪化が進むと人工的な血液の浄化や移植などで、腎臓の機能を代行する必要が出てきます。

血液浄化にはいくつかの方法がありますが、現在最も広く使用されているのが人工透析です。人工透析を受けている患者さんは年々増え続けており、日本では2020年末で約35万人まで増加しています(日本透析医学会統計調査参照)。こうした人工透析が必要な代表的な慢性腎臓病には、糖尿病腎症や高血圧性腎障害などがあります。

 

血液を濾過するフィルターの役割を果たすダイアライザー

人工透析は、患者さんが寝転んだり椅子に座った状態で、点滴のような針を腕に2カ所差し込んで行います。一方から全身の血液を体の外に出して透析器の中で濾過ろかし、もう一方からきれいな血液を体内に戻します。標準的な頻度は週3回で、1回あたりにかかる時間は約4時間。体内全ての血液をかなりのスピードで浄化するので、体への負担も大きい治療です。

この人工透析の際に使用する血液のフィルター(濾過機器)がダイアライザー(人工腎臓)です。直径が4センチメートル、全長が30センチメートル程の筒状のプラスチックケースのなかに、髪の毛数本分ほどの細さの「中空糸」と呼ばれる糸が、約1万本入っている構造です。

この中空糸の中はストロー状になっており、側面には小さな分子は通し、大きな分子は通さない微細な穴が開いています。中空糸のストローの内側に血液を、外側に透析液を流すと、血液中の血球や有用なタンパク質など大きな分子は通さず、分子が小さい尿素・尿酸などの老廃物や余分な水分のみが、側面の穴から透析液中に送り出されます。人工透析では、このようにして血液を濾過しています。

 

 

安全性以外にも、多くの機能が求められる接着剤

ダイアライザーのなかで、この中空糸を束ねてケースと接着する役割を果たしているのがポッティング材(接着剤)です。ダイアライザーの製造工程は、筒状のプラスチックケースの中に中空糸を充填し、高速で回転。そこにポッティング材を流し込み、遠心力を使って両端に寄せて固定します。最後に不要な部分をカットして、透析回路と接続するための治具を取り付けて完成させます。

ポッティング材は、透析時に血液と触れるため、高い安全性が求められます。また加工時には中空糸同士を束ねるため、中空糸の外側の隙間には入り込むが、血液を通す内側には浸透しない適度な粘度が必要。さらに、生産性を上げるために最適な速さで固まる硬化性も重要になります。人工腎臓用のポッティング材は、こうしたさまざまな条件を全て満たすことが求められます。

 

30年以上の歴史に裏付けされた確かな技術

この人工腎臓用のポッティング材として、三洋化成が開発した製品が『ポリメディカ』シリーズです。30年以上前に上市した歴史ある製品です。ダイアライザーの需要量が増えるにつれて、生産性を高めるためにポッティング材の硬化時間をさらに短縮したいというお客様の要望に応え、開発を続けてきました。

『ポリメディカ』シリーズは、ポリオールとイソシアネートの2液混合型のウレタン接着剤で、安全性が高く、低粘度・高速硬化を特長としています。三洋化成の強みは、このポッティング材に必要な粘度や硬化速度を自由に設計できるノウハウを持っていることです。通常、低粘度と高速硬化は相反する性能ですが、三洋化成が培ってきたポリオール設計技術は、これらの両立を可能にしたうえ、顧客の要求に応じたカスタマイズも可能にしており、人工腎臓の生産性の向上に大きく役立っています。

また、海外では一般的に使用されている金属触媒を使用していないのも『ポリメディカ』シリーズの特長です。三洋化成の触媒設計技術を駆使した金属フリーの触媒を使用し、より安全性を高めています。今後は、生産性の向上に加え、ポッティング材からの溶出物量を減らすなど、さらなる安全性の追求が求められると予測されており、硬化速度だけでなく、安全性の面でも開発が進んでいます。

『ポリメディカ』シリーズは、安全で質の高い製品を提供し続けることでSDGs3「すべての人に健康と福祉を」に貢献する製品です。今後もさらに良質な製品を、日本はもちろんアジアの国や地域にも広げ、人々の健康な暮らしに貢献していきます。

 

 

当社製品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。
使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

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